(写真=DAILY ANDS編集部)

「不安の見える化」できてる?老後も貧困も怖くなくなる、唯一の方法

お金の専門家と日経WOMAN編集長の対談から㊥

「マイナス金利時代のお金の知恵」と題したセミナー(2016年10月15日、オフィス・リベルタス主催)から、ファイナンシャル・プランナー(FP)の前野彩さん、経済コラムニストの大江英樹さん、『日経WOMAN』編集長の安原ゆかりさんの3人による対談をお届けするリポートの第2弾。今回は、「なぜ老後に対する不安がなくならないのか?」について、3人のご意見を紹介します。

【お金の専門家と日経WOMAN編集長の対談から。上・中・下】
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女性は「貧困」「老後」にドキッとする

安原:『日経WOMAN』の読者は、30、40代が中心なんですが、毎月、読者にアンケート取っています。そこで、「どんな言葉にドキッとしますか?」と聞くと、最近の1位は「隠れ貧困」や「貧困女子」、「老後破産」。回答者の6割ぐらいの方が自分も貧困女子になるかもしれないって思っていることが分かって、すごくビックリしました。

貯金残高が35歳で600万円あるうちの6割の方も「自分も将来は老後貧困女子になるかもしれない」と。「君は大丈夫だよ!」って言いたくなったけど、それぐらい多数の人が老後を心配しているわけですよ。これに対してはどうやっていけば良いんですかね?

マイナス金利時代のお金の知恵,前野彩,大江英樹,安原ゆかり 『日経WOMAN』編集長の安原さん(写真=DAILY ANDS編集部)

大江:老後に不安がない人はひとりもいません。ところが関心はあまりないんです。年金がいくらかも知らず、家計簿もつけていない、年金破綻するに決まっていると思い込んでいる。だから不安なんだろうと。

特に男性がひどいですね。女性の方がまだ、リアリズムというか現実的だから、もうちょっと関心を持って考えようとしていますが、男性は本当に大雑把で、不安だけど関心がない。「ねんきん定期便見てますか?」と聞くと、だいたい見ていない。

不安の最大の原因は「わからない」こと。もうちょっと関心を持って、わかるようにすることが大事かなと思います。

どうやって「不安の見える化」をするか?

安原:不安の見える化はどうやってしたらいいですか?

前野:今月、投資関係のイベントでお話をしたんですね。そのときに「老後が不安な人はどれくらいいますか?」と聞くと、ほとんどの方の手が挙がりました。参加者は20代、30代の若い方ばかりです。

次に、老後に必要な資金をお聞きすると、「3000万円から5000万円」という回答が多かったです。そのセミナーでは、実際に必要な老後資金を計算してもらうワークを行ったのですが、終わった後に想像より多いか少ないかを聞くと、9割くらいの方が想定よりも少なくて済んだ結果になりました。

現実的に自分の年金額や生活費を計算できると、ひとまずこれだけ貯めていけば安心、という金額が分かります。まずは知るということが大事なのです。ねんきん定期便を見るとか、生活費を洗い出すとか、現状を知ることが第一歩だと思います。

「4000万円ないと老後破綻する」は本当?

マイナス金利時代のお金の知恵,前野彩,大江英樹,安原ゆかり 経済コラムニストの大江さん(写真=DAILY ANDS編集部)

大江:老後に必要な資金って、人によって全然違うんですよね。子どもがいるのかいないのか、何歳で子どもを産んだのか、とか。子どもがいない家庭であれば、教育費ってかからないですよね。住宅ローンって大きな支出ですけど、家があるならいらないですよね。なので、ひとりひとり考えていく必要があると思うんです。

定年退職のときに4000万円ないと破綻するって言う人もいますが、私の場合は子ども2人とも留学させたりしていたので、定年退職したときに貯金なんて少ない額しかなかった。でも、企業年金もあるし、60歳から働いていてぼつぼつ収入もあるので、なんとかなっています。

自分の老後の生活費いくらかかるのか調べて、収入がどれくらいかも調べて、これならなんとかなるかな、というのが分かっていたので、貯金はなくても不安はありませんでした。

知ること、はものすごく大事で、一律4000万円ないと破綻するかのように言っているのは言い過ぎです。金融商品を売りたい金融機関の言っていることだと思った方がいいです。

安原:老後にいくらいるかってよく試算しますが、平均的なデータではなく、一度自分なりに計算してみる、ということですね。

前野:はい。私たちはお金に対する考え方を習っていないので、わからないときに「平均」という数字にすがりたくなる気持ちも分かるんですけどね。

資産運用する前に「真のムダ」を減らす

安原:今日のお二人の講演では、「真のムダ」を減らすというのも共通したメッセージがあったかなと思います。真のムダ、例えばよく「必要がない」と言われる民間の生命保険にどこまで入る必要があるでしょうか? がん保険や医療保険ってやっぱり入る必要があると思われますか。

前野:わたし自身は、がんになる不安の一番は、なることよりも、なったときの年齢だと思うんです。働き世代の方が、再発の不安と付き合うとなると、精神的な負担は大きいです。どう準備するか考えていくと、生涯では2人に一人ががんにかかるという確率から、なったときと、ならない場合と両方考えて、選択してくださいね、と伝えています。

よくある「100万円の診断給付金」ですが、本当に保険会社によってピンきりです。60万円ぐらい払って100万円もらえるなら、たしかにプラスにはなりますが、保険によっては、150万円払って、がんになったときに100万円の給付金という商品もあります。だったら貯めた方がいいですよね。

実際、ご相談者でがんになったことがある方に話を聞いても、「高額療養費制度でまかなえたから保険には入らなくていい」という人と、「大変だったから入ったほうがいいよ」という人の二種類に分かれます。

マイナス金利時代のお金の知恵,前野彩,大江英樹,安原ゆかり 対談に先立って行われた前野さんのセミナーの様子(写真=DAILY ANDS編集部)

大江:基本的には確率の問題というのはその通り。生涯のがんの罹患率(かかる確率)ではなく、60歳未満の罹患率だと2%、50歳未満は0.2%です。貯金が十分あるなら入らなくていいし、貯金がないなら入った方がいいという話です。

ちなみにがん保険入っているのは日本人だけですよ。アフラックのがん保険収益の85%は日本で上がっていると聞いたことがあります。残りの15%も他のアジアの国。アメリカでは「なんでがんだけ特別なの?」という考え方。アメリカ人は最近まで公的医療保険制度がなかったので、ヘルスケアに対して誰もが関心が高いのです。そんなアメリカだからこそ、医療保険の必要性については真剣に考えられています。

日本人はあんまり深く考えたことがなくて、公的医療保険の仕組みもよく理解しないまま、単純に進められると思考停止に入ってしまうんですね。

安原:思考停止せず、きちんと考えるってことですね。

次回のテーマはリボ払い、住宅ローン、長期投資

「不安なのは関心がないから」という言葉がグサッと刺さりました……。最終回となる次回は、より具体的なマネーの話題、リボ払い、住宅ローン、長期投資がテーマとなりました。(リボ払いは「誘惑の宝庫」。手を出したら絶対にダメな理由とはに続く)

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