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転職・退職時の確定拠出年金。手続きや気になることをまとめてみた

会社を退職・転職するとき、確定拠出年金はどうなるのでしょうか

会社を退職したり、転職を考えたりするときは、やるべきことや調べること、本当にたくさんありますよね。なかでも、会社が払った掛け金を運用しながら貯める「企業型確定拠出年金(企業型DC、日本版401kとも言われます)」に加入している人は手続きが必要になります。

そこで今回は退職・転職する際の確定拠出年金について、理解しておくといいことや手続きについてまとめました。

利益などが非課税になるありがたい制度ですから、引き続き将来のために役立てていけるようにしましょう。

退職・転職時には確定拠出年金はどうなる?

転職前の会社で3年以上、勤続していたのならば、それまでに積み立てていた全額を持っていくことができます。

3年未満であれば、これまでに会社が支払っていた掛け金の一部、あるいは全部が引かれることがあります。この部分は会社によって違うため、規約を確認しましょう。

手続きについては、退職後にそれまでの資産を管理していた運営管理機関(銀行や証券会社など)から書類が届き、それを元に次の手続きを進めていくことになります。転職先がどのような年金制度を採用しているかで手順が変わります。

1. 転職先が企業型確定拠出年金を導入しているケース

転職先の担当者の方に確定拠出年金口座に加入したいことを申し出て、移換の手続きを行います。確定拠出年金は会社ごとに商品ラインナップが違うため、一度それまでに運用していた分を現金にするということと、転職先で選べる運用商品が変わる可能性があることを知っておきましょう。

2. 転職先が年金制度を持たない、あるいは自営業になるケース

転職先が年金制度を持たない、あるいは自営業になるケースは、「個人型確定拠出年金」へと資産を移すか、新たに掛け金を出さずにそれまでに積みあげた資産の運用を続ける「運用指図者」になるか、を選ぶことになります。いずれの場合でも、自分で運営管理機関を探します。

「口座管理料」が安いのはこの3社!個人型確定拠出年金の金融機関の選び方① でも解説されているように、会社ごとに手数料や取扱商品が違うため、手続き前にしっかり比較しましょう。

ちなみに、個人型の確定拠出年金制度を利用する場合、掛け金を自分で支払うことになります。自営業の方は月額6万8000円まで、会社員の場合は月額2万3000円までと限度額も変わります。支払った分はすべて所得控除されるため、所得税と住民税の節税ができます。

3. 転職先は企業型確定拠出年金に加入していないけれど、厚生年金基金や適格退職年金などの制度がある企業、あるいは公務員や専業主婦(夫)になるケース

2016年末まではこれまでの拠出分を企業年金に移すこともできず、「運用指図者」として、過去の積み立て分を運用し続けるしかありませんでした。

しかし、2017年からは制度が改正され、「ポータビリティ制度」を利用して個人型確定拠出年金を使って運用資産を増やせるようになりました。

手続きをしない場合はどうなる?

退職から6カ月が経過すると、年金資産が自動的に現金化され、国民年金基金連合会に移換されます。

そうすると年金の加入期間としてカウントされなくなり、60歳以降に年金として受け取ることができなくなってしまうこともあります。移換の手数料(自動移換時4269円、他年金へ移管する際は1080円)以外にも、移管後4カ月を過ぎた場合には管理手数料(月51円)が発生してしまいます。

手続きは忘れずに行いましょう。

確定拠出年金転職2 (写真=Thinkstock/Getty Images)

脱退一時金とは?

脱退一時金とは、企業型確定拠出年金に加入していた人が資格を喪失した場合に受給できるお金のことです。

ただ、もともと確定拠出年金という制度自体が、60歳以上に受け取る年金として設計されているものなので、定年前にこの年金を脱退して「運用はしなくていいから現金で受け取りたい」と思ったときにすぐ受けとれる性格のものではないようです。

また、脱退一時金を若いうちに受け取ることは「老後の資産形成」という確定拠出年金の目標からそれてしまうことから、積み立てた年金を受け取る際、税制の優遇を受けられなくなってしまうことにも留意しましょう。一時所得として課税対象になるということです。

脱退一時金を受け取るための条件

脱退一時金を受け取れるのは次のような人です。

  • 企業型確定拠出年金での資産が1万5000円以下
  • ①〜⑤の全ての条件を満たす

①資格喪失から2年以内であること
②国民年金保険料の納付が免除されている(第1号被保険者、つまり保険金の支払いを申請して免除を受けている人や、学生納付特定の適用者、生活保護受給中で法定免除者となっている人など)こと
③確定拠出年金で障害給付金の受給資格がないこと
④資産額が25万円以下、あるいは掛け金の拠出期間が3年以下であること
⑤退職して企業型確定拠出年金の加入資格を失った時に、脱退一時金を受け取っていないこと

企業型確定拠出年金の資産が1万5000円以下のケース

話が一番簡単なのは、企業型確定拠出年金での資産が1万5000円以下(請求日時点の時価評価)の人です。

ただし資産1万5000円以下であれば誰でも脱退一時金を受け取れるわけではなく、個人型確定拠出年金や別の会社で企業型確定拠出年金に加入していないこと、個人型・企業型問わず「運用指図者」になっていないことも条件となります。

もし、上記の条件にあてはまる場合、脱退一時金を受け取るには、年金の資格を喪失した月の翌月から数えて6カ月以内に手続きする必要があります。

例えば、2017年9月10日に資格を喪失したとすると、手続きの締め切りは、翌月2017年10月から数えて6カ月以内の2018年4月末日ということになります。

企業型確定拠出年金の資産が1万5000円より多くあるケース

それ以上の運用資産がある場合はどうなるかというと、退職して年金を脱退した日が制度改正のあった2017年1月1日の前か後かで条件が変わってきます。

この日付以降に企業型確定拠出年金の加入者資格を失ったという場合で、①〜⑤の5点すべての条件を満たしていれば、脱退一時金を請求できます。

また、年金を脱退したのが2016年12月31日以前だという場合は、制度が改正される前の要件が適用になります。

脱退日を確認した上で、運営管理機関へ連絡してみてください。

【確定拠出年金と税金についてはこちらの記事も参考に】
確定拠出年金、税金が優遇されるってどういうこと?

また、iDeCoポータルには、脱退一時金にかかわる支給判定をしてくれるページもあります。

質問に答えていくだけで脱退の要件を満たしているか、満たしていればどこへ請求の手続きをすればいいのかを調べることができて便利です。迷ったときは利用してみてください。

解約するのに必要な手続きは?

企業型確定拠出年金は、解約を希望する場合は前項で触れた「脱退一時金」を受け取ることになります。

手続きとしては、要件を確認の上、運営管理機関から「裁定請求書」を取り寄せて、提出することになります。しかし、確定拠出年金は決して貯金ではなく、将来の年金をつくる目的の制度です。そこに貯まっているお金を引き出せるのは、基本的には60歳以降だと思っておきましょう。

退職・転職するときは確定拠出年金のチェックをお忘れなく!

転職する際の企業型確定拠出年金については、まずは退職後に運営管理機関からの書類を待って、転職先の年金制度がどうなっているか確認の上、手続きを進めると認識しておきましょう。

退職後の人生をより豊かに、余裕をもって過ごせるように準備していけるのは自分だけです。新生活も手続きも、うまく進めていけますように。

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