(写真=Thinkstock/Getty Images)

カルビー、ランクアップ…女性管理職が増えている企業の共通点とは

カギは安心感とやりがいの仕組み作り、カルビー、ランクアップ、相模原市を例に見る

2020年30%

この数字は、2005年の「第2次男女共同参画基本計画」で決定された女性活躍推進の目標で、「2020年までにあらゆる分野で女性管理職の割合を少なくとも30%程度にする」というものです。

残念ながら現実は厳しく、2015年末の第4次計画では、国家公務員は7%、民間企業の課長相当職は15%を目指すなど事実上、下方修正されました。とはいえ、女性の活躍推進がアベノミクス成長戦略の要であることに、変わりはありません。また、社会の追い風もあり、確かに今後、女性管理職はさらに増えていくでしょう。

現在、女性を管理職として積極登用している日本の大手企業や行政を調べてみると、ある共通点があることが分かりました。

1.カルビー ダイバーシティ先進企業のトップをひた走る

スナック事業のイメージの強いカルビー <2229> ですが、近年、働く女性の視点で販路拡大に成功した「フルグラ」の大ヒットにより、4年間で年商を6倍にまで跳ね上げています。実は、その成功の要因の一つが女性管理職の増加にあります。

現在の女性執行役員の割合は26.7%。2020年までに女性管理職比率30%の一番乗りを目指しているそうです。Forbes JAPANのインタビューで、松本晃会長は以下のように語っています。

世の中の半分は女性なのに、マネジメント層は男性ばかり。優秀な人は男女を問わず優秀。これでは片翼しか使わずに飛行しているようなもの。企業が成長できるわけがない。

現状では、家事・育児に関して女性がハンディを背負っているのは事実。それに対処するのは、マネジメント側の責任だと思っている。

ダイバーシティは、並行して働き方改革を進めなければならない。働き方改革で最初に言ったのは「とにかく早く帰れ」。

今は「会社なんか来るな」と言っている。昔ならともかく、今はツールが揃っているので仕事は毎日オフィスに来る必要はない。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの元日本法人社長などをへて、カルビーのCEOに抜擢された松本氏は、女性管理職の重要性について深く理解し、徹底した「成果主義」と「働き方改革」を進めます。そして、女性が充実して働ける環境を整え、結果を出し続ける企業へとカルビーを変化させ続けているのです。

2. ランクアップ 7つの働き方革命で長時間労働不要の組織へ

女性が社員の9割を占め、約半数がワーキングマザーとして活躍している化粧品メーカーの「ランクアップ」。岩崎裕美子社長も、働きながら子育てをしているワーキングマザーの一人です。同社の特徴は、とにかく女性が働きやすい環境づくりを徹底しているところ。それを表しているのが、以下の3つのステップです。

1 安定した経営基盤をつくる

製品へのこだわり、お客様へのきめ細かなサービスなど、経営基盤をしっかりと固めています。

2 ランクアップ7つの働き方革命

残業をゼロにするべく、従業員の意識改革をはじめ業務のシステム化やアウトソーシングなどを積極的に行い、業務改善、効率化を図っています。実際、この働き方革命により、きちんと定時で帰る社風が根付いたようです。

3充実した福利厚生、各種制度

子供の急な体調不良などがあった際、専門のシッターさんが自宅で看護してくれる病児シッター制度や時短勤務制度など、ワーキングマザーにとって非常に働きやすい福利厚生や各種制度を採用しています。

事業としても年々右肩上がりに売上高を伸ばしている同社ですが、代表自らがお手本となり、ビジネスの世界においてハンディとなりがちな「結婚」「出産」を経験しても、一社会人として活躍できる場を作り上げています。これからの女性活躍社会のベンチマークとなる会社の一つではないでしょうか。

2010年30%, アベノミクス, 女性管理職, 女性進出, 男女共同参画基本計, キャリア, 女性, カルビー, 相模原市, ランクアップ (写真=Thinkstock/GettyImages)

3.相模原市 女性教員の管理職36.2%が実現する秘密とは

2011年度から女性管理職の積極登用を始めたという神奈川県相模原市。Yahooニュースの記事(「相模原市はなぜ女性教員の管理職が多いのか? 女性管理職比率36%の理由」)によると、2010年度には25.0%だった女性管理職の割合が、2016年度にはなんと36.2%になったといいます。

10%以上も増加させた理由の一つは「男女関係なく評価する」方針です。当たり前のようにも思いますが、世間一般ではまだまだ男性の方がリーダーとして優れているという固定概念も根強くあるのも事実。しかし、相模原市教育委員会はもともと男女に能力差があるという前提に立ってはおらず、さらに、近年の女性活躍推進の動きがあったことによって、女性管理職の登用増加に影響したようです。

また、同市では育児休暇制度や、育児などの事情に柔軟に対応してくれる現場の寛容さ、住居を伴う転勤の可能性の低さ、さらには2年連続待機児童数ゼロを達成するなど、安心して暮らし、働き続けられる環境が整っているともいえるでしょう。

女性活躍の鍵は「結果へのこだわり」と「柔軟な働き方ができる環境づくり」

優秀な女性ほど達成意欲や意思が強く、結果を残せる人材です。実際、今回挙げた3例は、いずれも女性管理職を積極採用したことにより、業績や効率が格段に向上しています。

しかし一方で、女性にとって「仕事と家庭の両立」はどうしてもついて回るもの。ハンディキャップになりがちです。そんな中、うまくいっている企業、組織は、働く女性に安心感とやりがいを感じさせるような仕組み作りに余念がありません。

結果を残せる人材を選ぶこと、長時間労働を美徳とするあしき慣習を改善して、いかに労働生産性を上げるかということが、今後の女性活躍社会へのカギとなるでしょう。

これからも、ぜひ多くのキャリア女性に輝いていただきたい。そして、社会全体を活性化していってほしいと願っています。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に