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【連載】「きんゆう女子。の起業日記♪」

第5話 大切なのは、自立すること。起業1年生におすすめのFinTechサービス

起業に必要なお金の知識って?

オンライン旅行サービスのTOE THE LINEを起業し、「きんゆう女子。」を運営する鈴木万梨子さんの奮闘記。「ベンチャー」や「金融」という世界に出会い、いよいよ会社を立ち上げる段階になりましたが、起業するときに必要なお金の知識はどのようなものがあったのでしょうか?

スピードは大事だけど、事前準備もしっかりと

私は「えいや!」で起業したのですが、転職と同じで、スタートしてからいろんなことが見えてくるものです。特にお金のこと。事前に準備をしっかりしていたつもりでしたが、後から「こうしておけばよかった!」ということがたくさんありました。

この記事を読んでいる皆様の中には、独立を目指している方もいるかもしれません。スピードは大事ですが、起業を準備する際には、いろいろと勉強しておくことをおすすめします。

起業,お金の知識,失業手当,保険,税理士,弁護士,FinTechサービス (写真=筆者提供)

起業に必要なお金のこと

・失業手当について

これは、起業の準備に追われていた最中のことだったため、私はあまり調べず進めてしまいましたが、なんと、今は起業準備中であっても、失業手当が給付される可能性があるそうです。

これは2014年7月に厚生労働省が出した通達によるもので、起業を後押しするための政府の施策と考えていいでしょう。

ただし、全国のハローワークで配布されているパンフレットに「求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合があります」とあるように、起業準備とともに求職活動も行うことを条件としているようです。それでも、これまでは「自営を開始、または自営準備に専念する」と見なされ給付の対象外だったことを考えれば、大きな前進です。

起業準備中として失業手当の給付を受けるには、2種類の離職票、本人確認書類(マイナンバーカード、運伝免許証、健康保険者証など2点)、写真、印鑑、預金通帳などを準備し、ハローワークでの給付手続きが必要になります。ここで注意したいのが、起業準備中でも「求職活動中」であることが条件となっている点。給付申請の手続き前に、求職の申し込みが必要になる場合もあるようですので、ハローワークで相談してみるといいかもしれません。

手続きが済めば、失業手当は最長1年間、前職の賃金の5~8割が給付されます。残念なことに、当時私はこの情報を知らず、申請をしませんでした。

・保険の切り替えについて

次に、健康保険についても決めなければなりません。前職での社会保険を任意継続するのか、国民健康保険にするか。私の場合は任意継続せず、国民健康保険にも切り替えないままでいたので、数カ月間健康保険に入っていない状態でした。つまり、病気やケガで通院することになっていたら、ひどい出費になっていたかもしれません。

起業後は、厚生年金保険や健康保険だけでなく、業種によっては労災保険や、スタッフを雇えば雇用保険に加入する義務も生じます。お金がないからといって、これらの保険は数カ月加入しないというわけにはいきません。創業してから資金計画を進めていくと、想像していた支出と実際に出ていくお金の違いに、びっくりすることになります。

・税理士さん、社労士さん、弁護士さんをどうするか?

最近では、FinTechサービスが充実していて、会社登記や会計も自分でできるようになっているようですが、ITリテラシーに自信のない方や起業初心者の場合、お金に余裕があれば、専門家に頼るのも一つの手です。

ただし、どの範囲まで相談できるのかなど、入念なチェックは忘れずに。高い費用を月額で払っているのに、サポートが薄く、してもらえるのは最低限のことだけ……という方に当たってしまったら、かえって、手厚いサポートがあるFinTechサービスで自己管理するほうがよいかもしれません。

紹介案件は意外に注意!

私も、税理士さん、社労士さん、弁護士さんを親しい方から紹介していただきました。今はとてもうまくいっているので良かったといえるのですが、いろいろな方から話を聞くと、一概に紹介がおすすめともいえないようです。

例えば、紹介を信頼して他と比較することなく決めてしまった場合、後から後悔する可能性もないとはいえませんし、紹介してもらった手前、費用が合わなくても妥協するしかないことも。また、途中でやめられなくなってしまったりすることもあります。

起業して1年から数年間は、非常に苦しい状況が続き、よほどサービスが順調でない限りは出入金も多くありません。なるべく小さく動きやすいかたちでスタートし、お金に関わるサービスは事業の大きさに応じて切り替えてもいいと思います。

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簡単で分かりやすい、起業1年生におすすめのFinTechサービス

私が起業してから便利に利用しているFintechサービスが幾つかあります。そのうちの2つをご紹介しましょう。

1)MFクラウド請求書

家計簿アプリ「マネーフォワード」の法人向けサービスです。見積書・請求書・納品書・領収書の発行や、月単位の売り上げも一覧表示できます。

便利な点は使いやすさ。同じようなツールを幾つか試してみましたが、無料でここまで利用できるなら!と重宝しています。有料ですが、請求書の郵送代校もしてくれますよ。収益が上がってきたらプランをアップグレードして、見積もりから出入金管理まで一緒に管理したいと思っています。

2)Staple Pulse for HANJO HANJO

スタートアップや中小零細、個人事業主向けに、キャッシュフロー管理を自動化し、毎月の支払いや収入の煩わしさを軽減してくれるオンライン「資金繰り計画」支援サービスです。

創業してすぐ、多くの出入金がある会社であれば「マネーフォワード」や「freee(フリー)」というクラウド会計ソフトが向いていますが、起業したばかりの小規模な会社なら、初年度は「Staple Pulse」くらいの手軽に使えるツールで十分だと思いました。

実際、エクセルで管理していた支払い・入金明細をこのツールで自動化したおかげで、いつになったら資金がなくなるのかといったキャッシュフローが明確になり、事前に対策を打つことができるようになりました。お金の流れを1年目から「見える化」することで、どれが無駄なお金なのかも分かります。

ここまでクラウドツールをご紹介してきましたが、アナログもバカにできません。毎月の支払いや提出した請求書に加え、通帳記入もこまめに行い、何に使ったお金なのか、何の入金なのかを通帳にメモしています。全て取っておいて、税理士さんと共有しています。

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家計の管理も会社のお金の管理も、人によって向いているツールや手段があると思います。しかし、起業して法人となれば、自分だけの問題ではありません。しっかり外の目を通しながらきちんと管理し、開示することが求められます。

自分の家計簿管理ができていない人ほど、起業によってお金の管理の勉強を強制的にすることになり、お金の管理方法がガラリと変わる可能性があるのではないかと思います。

起業に必要なお金については難しいことも多く、インターネットにはたくさんの情報が溢れています。事業をつくる起業家になるのであれば、自分で何もかも勉強して無理にプロになろうとせず、対価を支払ってでも、信頼できる人のサポートやアドバイスを受けたほうがいいと、私は考えています。

重要なのは、その情報や人にお金を払ってもいいかどうか、それが正しいかを、自分自身で判断できるか、選ぶことができるか。つまり、自立していることなのではないでしょうか。

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