(写真=Thinkstock/Getty Images)

ノーベル賞の賞金が減っているけど、大丈夫なのか? 財源について調べてみた

気になる賞金とその財源のアレコレを調べてみました

巷では大隈良典氏がノーベル医学賞を授与され、日本人としては3年連続ノーベル賞受賞の快挙の話題で持ちきりです。 10月4日には、株式市場で早くも「オートファジー(自食作用)」関連銘柄がストップ高をつけていました。

さて、自分が歳を重ねる瞬間、世界がどう動いているのかを記録するのが好きなのですが、本日はノーベル賞の賞金はいくらくらいで、税金はどうなっているのかを見て参りましょう。

ノーベル賞の賞金っていくらなの?

大隈氏に関して言えば、賞金は800万スウェーデンクローナ(日本円で約9600万円)。医学賞の他には、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞があり、ひとつの賞を複数人が受賞した場合、800万スウェーデンクローナを分割します。

(ちなみに、上の5つの賞の他に「経済学賞」も耳にしますが、こちらはスウェーデン国立銀行がノーベル財団と協力して後から創った賞で、ノーベルの遺言にはなかったものです。詳細は後述)

約1億円とかなり大きな賞ですね! しかし、これでも以前に比べたら減額されていて、2011年までは1000万スウェーデンクローナ(現在のレートで約1億2000万円)でした。あれ、減っている……?

賞金はなぜ減ったの?

そう、2012年に賞金額が減っているのです。

理由については、ロイター通信が2012年6月12日に報じたところによると、「財団は(中略)アルフレッド・ノーベルの遺産を運用して賞金や運営費を賄っていたが、過去10年間の運用利益が経費を下回っていた。早めに必要な措置を取ることが肝要だと判断し、減額することを決定した」とのこと。財政悪化の理由として、AFP通信は「世界経済の混乱」を紹介しています。

ちなみに、インフレ率(物価上昇)を考慮すれば、800万クローナという数字は、1901年の第1回受賞者に渡された15万782クローナと同等の価値になるという見方もあるようです(AFP通信)。

参考:
ノーベル賞の賞金が2割減額に、財団の財政悪化で(ロイター通信)
今年のノーベル賞の賞金を20%減額、金融危機の影響で (AFP通信)

そもそも賞金の財源はどこ? 尽きないの?

そもそもノーベル賞の財源って何? ということを紹介すると、ご存知ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルが遺した莫大な個人資産……の、運用利益。ノーベルは遺言でノーベル財団を創設し遺産の運用管理を任せ、言わば利息分を、人類に貢献する活動をした人に分配しているのですね。

「このまま毎回、各賞に1億円も払い続けていたら、いつかお金、無くなっちゃうんじゃないの!?」という疑問が生まれますが、実際にはそこまで心配なさそうです。

念のためスウェーデンのノーベル財団の公式ページ から年次報告書「annual_report_15.pdf」も確認しましたが、総資産は40.6億スウェーデンクローナ(現在のレートで480億円)と、2014年の38.7億スウェーデンクローナ(同約460億円)から着実に増えています。ゼロになることはなさそうですね。

ノーベル賞, 賞金, 税金, 財源, 使い道 (写真=Thinkstock/GettyImages)

ノーベル賞の賞金に、税金はかかるのか?

ノーベル賞の賞金について、日本では非課税になっています。尚、税法上「経済学賞」だけは課税されることになっていますが、そもそも「経済学賞」に関しては、これをノーベル賞と認定していいのか微妙なところです。

メディアでは「ノーベル経済学賞」と一緒くたに表記されることが多いですが、実は、スウェーデン本国でも意見が割れているこの賞。先述のとおり、ノーベルの遺言にはなかったものですし、ご遺族も、経済学賞をノーベル賞に入れることには反対しています。しかしスウェーデン王立科学アカデミーが「新しいノーベル賞」として承認してしまったことによって、ややこしい事態となっているわけですね。

そうした経緯や、日本にはまだ「経済学賞」の受賞者がいないこともあり、実際の税金がどうなっていくかは分かりません。他のノーベル賞と違って、財源もスウェーデン国立銀行に依拠していますし、今後が興味深いところです。

アメリカでは課税されるってホント?

ノーベル賞の賞金は日本では非課税ですが、アメリカでは課税されます。国によって課税方法が異なるのですね。

ちなみに日本が非課税になったのは、昭和24年、湯川秀樹博士が日本人初のノーベル物理学賞を受賞した後のタイミング。お祝いムード一色の中から「賞金に課税するのか!?」という世論が巻き起こり、その勢いのまま非課税になったようです。いかにも日本らしいエピソードです。

賞金の使い道は?

賞金の使い道については、ノーベルの理念に則って、受賞者は寄付される方が多いようですね。例えば2009年に受賞したバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領、2012年の欧州連合(EU)は賞金を慈善団体に寄付しています。

今回の大隈氏も、「豪邸に住みたいわけでもないし、外車を乗り回したいわけでもない。できるだけ役に立つことができればいい。何に使ったら一番いいか、若い人たちのサポートができるようなシステムができないか、考えている」と仰っています。

そんな中から敢えてひとつ、最後に面白いエピソードを。「特殊相対性理論」で超有名な科学者・アインシュタインは、なんとノーベル賞の賞金を、妻との離婚の慰謝料に充てています。しかも仰天するのは、離婚協議書を作っていたのは、ノーベル賞の受賞「前」。

要するに、「自分はいつか必ずノーベル賞を受賞して、その賞金をあげるから別れてほしい」と妻に申し立て、2年後に本当に受賞してしまった、といういかにも世紀の天才らしい破天荒な逸話なのでした。

もしもあなたが1億円を手にしたら、いったい何に使いますか? 私は……いえ、つつましく生きていこうと思います。

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