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【連載】「事実婚でパートナーと歩む」

#04 高収入な人は事実婚の方がおトク? 意外と知らない離婚時の財産の分け方

事実婚を解消するとき、法律婚とどこが違うか知ってますか?

あえて入籍をせずに、普通の夫婦となんら変わらない生活をする「事実婚」夫婦。前回までの連載で、社会保険は実態重視で判断されるため、事実婚と法律婚には差がないこと、税金は入籍の有無で明確な違いがあることをお伝えしてきました。

では、事実婚の夫婦が関係を解消したいという場合は、どのような影響があるのでしょうか?慰謝料や財産分与、年金の分配…気になるお金の問題を、事実婚をしている筆者が解説します。

そもそも事実婚夫婦に離婚ってあるの?

法律婚と同じように、事実婚夫婦にも離婚はあります。法律婚のような離婚届はありませんが、お互いの意思で事実婚を解消することが、事実婚夫婦の離婚です。

二人の合意に基づいて、事実婚を解消して離婚することには問題ありません。ただし、どちらか一方だけが離婚を希望する場合は、法律婚に準ずる夫婦として扱われ、その場合は「正当な理由」が必要です。

<離婚原因として認められる可能性が高いもの>

  • 配偶者の不貞行為…浮気など
  • 悪意の遺棄…正当な理由なく同居しない、生活費を負担しないなど
  • その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

相手が浮気をしたら慰謝料は取れるの?

浮気、つまり不貞行為が原因で離婚が認められているということは、浮気による慰謝料請求の権利も認められています。

慰謝料額も法律婚と同様に扱われます。離婚するのかしないのか、あるいは、その浮気の状況によって、浮気をされた方の「損害」が変わります。数十万~300万円ほどが目安のようです。

財産分与ってどうなるの?

事実婚の期間中に「夫婦で作った財産」は、法律婚と同じように、財産分与の請求ができます。

ただし、あくまでも財産分与で請求できるのは、事実婚開始から事実婚解消までの期間に2人で作った財産です。

独身時代に貯めていた預貯金等の財産は、財産分与の対象外です。また、親が亡くなって相続した財産も本人だけの財産となるので、相続財産も離婚で分ける必要はありません。これも法律婚と同じです。

事実婚, 解消, 離婚, 慰謝料, 財産分与, 年金 (写真=Thinkstock/GettyImages)

年金はどうなるの?

年金も離婚にかかわる大きなお金です。年金は社会保険のひとつですから、実態重視ということで、事実婚の場合も離婚による年金の請求ができます。

離婚時の年金分割とは、会社員や公務員が加入する厚生年金部分を、婚姻期間に応じて夫婦で分けることができる制度です。

これは、「夫婦の互いの協力があったからこそ働ける」という考え方にのっとっているので、専業主婦家庭なのか、共働きなのかによって、2種類の年金分割制度があります。ただし、事実婚で認められているのは、そのうちの1つなので、注意が必要です。

1.3号分割

たとえば、事実婚の夫が会社員、妻が専業主婦だった場合、妻は国民年金では第3号被保険者です。3号分割では、事実婚も法律婚と同じ取り扱いです。

つまり、2008年4月1日以降の事実婚の期間中について、妻は、夫の厚生年金の記録から半分を受け取ることができるのです。これには夫婦の同意は不要です。

ただし、事実婚で第3号被保険者になってから2008年3月31日までの分は、夫婦の合意、または裁判所の決定が必要となり、最大半分まで厚生年金記録を受け取ることができます。

2.合意分割

夫婦2人とも正社員で厚生年金に加入している共働き夫婦が離婚する場合は、2人の厚生年金記録を合計して2で割り、多いほうが少ない方に渡す仕組みになっています。

ただし、この合意分割が使えるのは、法律婚だけで、事実婚では使えません。

では、この合意分割が使えないということが、事実婚夫婦にとってはメリットでしょうか? それともデメリットでしょうか?

答えは「収入による」です。

一般的に男性の方が収入は高いので、合意分割では、収入の高い人の厚生年金記録の一部が、低い方に渡ります。

ということは、事実婚の場合、合意分割ができないことがメリットになるのは、収入が高い人。デメリットになるのは、収入が低い人、となります。

自分がどちらの立場になるかによって、損得が180度変わるのが合意分割制度。でも、もともと法律婚でも2007年まではなかった制度です。事実婚を解消しても、自分で働いて、老後に備えることを前提に生きていきましょう。

慰謝料や財産分与は法律婚と同じ、年金分割は3号分割のみ適用

以上をまとめると、事実婚を解消するときの慰謝料や財産分与、年金に関する決まりは以下の2つです。

  1. 事実婚の解消も、法律婚の離婚と同じように、慰謝料も財産分与も認められる。
  2. 年金分割は、専業主婦などの3号分割はできるけれど、共働きの合意分割はできない。

次回は、いよいよ最終回。事実婚と子どもについてお伝えいたしますので、お楽しみに。

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