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【連載】「税理士の告白」

第7話 仕事にも役立つ!税理士が結婚披露宴を予算100万円で乗り切った秘策

大切なのは、節約よりも◯◯◯◯書でした

そろそろ結婚式シーズン。披露宴の出費に驚く新婚の方もいらっしゃるかもしれません。税理士ライターの鈴木まゆ子さんは、転職直後の薄給に苦しめられていた頃、この出費に悩まされたと言います。予算100万円で披露宴を開いた税理士ならではの方法とは?

月収40万円未満でも、結婚披露宴の収支はトントン

私は25歳で夫と入籍、1年後に挙式しました。当時、私たち二人の収入は合計40万未満。特に私は税理士試験のための勉強代のための貯金をしていたので、結婚披露宴などというおカネのかかるイベントはできないはずでした。

しかし、周囲の圧力に負けて挙げた結婚披露宴は、無事に収支トントンで済みました。その秘策は、身につけた会計力にあったのです。

親戚の一言で動き始めた結婚披露宴

大学卒業後、付き合っていた彼と一緒に暮らし始めた私は、同棲してから2年目に入籍しました。夫は転職して間もない頃、私は会計事務所で働き始め、薄給の中から毎月5万円を溜めていていた時期でした。

参考:
第3話 手取り15万円で毎月5万円貯金する方法

少ないお金をやりくりする私たちにとって、200万~300万円もかかる結婚披露宴を開くなど、想像もつかないことでした。

しかし入籍の直後、挨拶回りをしている中で、一人の叔母から穏やかに、こう聞かれました。

「あなたたち、入籍したのはいいけど、式はどうするの?」

お金がないから式も披露宴もしません、と話すと、叔母は急に表情を変え、私たちを説得し始めました。

「挙式は『私たちはこれから夫婦としてやっていきます、末永く見守ってください』と親戚や周囲の知人友人に対する礼儀なのよ。結婚するのは二人であっても、周りとのつながりは欠かせないんだからね。式でなくてもせめて披露宴はすべきだわ。お金なんて心配しなくていいわ。ご祝儀でなんとかなるものよ。ウチの娘の結婚式だってどうにかなったのよ」

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突っぱねても突っぱねてもなおも続く叔母のお説教に、私も夫も徐々に気持ちが動き、「とりあえず冷やかしで結婚式場見学に行ってみるか」ということになりました。

実際に見学に行くと、おめでたい雰囲気に夫婦ともども心を動かされました。更に結婚式の相談所に行くと、工夫次第で披露宴はできるとの情報を得、「一生に一度のこと。せっかくだから披露宴をしよう」という結論に至ったのでした。

披露宴を行うと決めたものの、懸念点はお金

披露宴を行うことを決め、最初に気になったのはやはり「お金」です。

叔母は「ご祝儀でなんとかなる」とは言うものの、私たち夫婦はそれほど友人知人の輪が広くなく、かつ、就職氷河期組で当時20代半ばの友人たちの多くは、あまりお金を持っていませんでした。

また、金銭感覚が一人一人違うことを知っていたので、ご祝儀制にした場合、3万円包む人もいる一方、5000円や3000円のご祝儀にする人が出てくることは容易に想像できました。

お金は感情がのりやすい存在です。ご祝儀の多寡で人間関係がぎくしゃくしては式を挙げたことを呪う結果ともなります。だからといって、ただでさえ生活するだけで精一杯の私たちに、多額のお金を支払う余裕はありませんでした。

まずは「会費制」に

そこで、会費制にし、招待状にて一人1万5000円の会費を参加者にお願いすることにしました。その集まった会費の中で無理のない支出をし、派手ではなくても心のこもった結婚式にしようという結論に至りました。

招待状を出し、出席の返事があったものを集計した結果、会費収入はおよそ100万円になることが分かりました。

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予算100万円で収めるために行った数々の節約術

「100万円の予算の中で、いかに中身のこもった式をあげるか」。この目標を達成するために私たちが行った工夫は次のようなものでした。

  • 結婚相談所で予算の話をし、衣装のレンタルやパーティ会場、お花屋さんで、なるべく費用対効果のよいところを紹介してもらう
  • 紹介してもらったところを片っ端から訪ね、内容が自分たちの趣向に合うかどうか確認する
  • 料理のメニュー表や芳名帳、ネームプレートなど、作れるものは手作りする
  • カード払いはせず、現金払い

しかし、こういった節約の工夫以上に役に立ったのは「損益計算書」による収支計算でした。

節約以上に役立った「損益計算書」活用のコツ

損益計算書のリアルな数字を用いて全体のバランスを把握し、細かくチェックしていくことで、ムダのない意味ある支出を行うことができたのです。

具体的には、最初に、おおよその支出の見込みを立て、あらかじめ損益計算書で全体の収支計算を行い、赤字にならないかどうかを把握します。

そして、赤字になりそうならば、絶対に妥協したくない支出や内容などを二人で話し合い、再度各項目の支出の上限を設定します。

さらに、支出先や予定内容の決定や変更がある都度、損益計算書で損益状況をチェックしました。

予算内に収めるために、意識したこと

最初から最後まで意識していたことは、なるべく残金が多く残るように支出を抑えることでした。

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なぜなら、披露宴を含め、いかなる場合であっても不測の事態は生じるからです。その不測の事態、つまり当初予定していなかった支出に対応すべく、余裕を残しておこうと心を砕いていたのでした。

実際、見落としていた支出や不測の事態が生じた場合には、その支出を残金の部分でカバーすることができました。

結果、思わぬ黒字化に成功

そして結婚披露宴当日は、多くの知人友人が集まってくれ、私たちの門出を祝ってくれました。

楽しかった披露宴の後、最終的な収支の状況を確認すべく、損益計算書を作成したところ、数百円の赤字という結果になりました。

しかし、年配の親戚が、若い私たちのこれからを思いやってくれたのか、会費とは別にご祝儀を包んでくれていました。そのため、予想外のご祝儀収入を含めて計算すると、数十万の黒字になりました。

このご祝儀は、夫婦二人の管理の下、生活の予備資金として、今でも大事にとっておいてあります。

「予算制」と「損益計算書」は仕事にも生かせる

この「予算制」と「損益計算書による収支バランスのチェック」の姿勢は、結婚披露宴のみならず、仕事のための大きな投資や出費の際、今でも大いに役立っています。

人間の脳は基本的に変化を好まず、常に現状維持を望みます。なぜなら変化は、現状保っている安心安全な状況を捨て、未知の状況に飛び込むことを意味するからです。現状から飛び出し、未知の状況に飛び込むことは、大きな恐怖を伴うのが一般的です。

だからこそ、何かにチャレンジするとき、大きな投資や出費をするときは、「予算」や「チェック」という形で自分にとって安心で安全な状況を作り出し、自分で自分を説得しておくことがより建設的です。

恐怖を意図的に減らし、安心できる状況の中で変化を体感できれば、より前向きに学びや成長が得られるものと思っています。

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