(写真=Thinkstock/Getty Images)

【連載】「マネー相談は人生相談。女性FPたちのホンネ日誌」

#05 「夢のマイホーム」の落とし穴。夫の死亡保険金で住宅購入を希望するB美さん

寺野裕子のつぶやき<前編>

あまり表に出ることのないファイナンシャル・プランナー(FP)という職業の女性たちに、普段どんな相談を受けているのかリレー日誌形式でつづってもらう連載の第3弾。今回のテーマは「夢のマイホーム」。人がお金について考える大きなきっかけとなるテーマですが、FP寺野さんはある女性相談者に購入しないことを強く勧めた経験があるそうです。それは一体、どのようなケースだったのでしょうか…?

9年来お付き合いのあるお客様から電話が

2016年9月某日。早朝4時、パートナーが体調不良を訴え救急車に出動してもらうという騒動がありました。

彼は10年前に心筋梗塞となった経験があり(そのときは一命を取り止めましたが)、本人、家族とも「ひょっとして……」と悪いことばかりイメージしてパニック状態。私はといえば、救急車に不要な大きなバスタオルを抱えたまま乗り込んでしまうというダメっぷり。結局、今回は心筋梗塞ではなく大事には至らなかったのですが、正直、自分のテンパリ様に情けない気持ちになりました。

そんな少々凹んでいて、しっかりしなければ!と思っている時に病院で、とある女性のお客様から電話がかかってきました。

「子どもの扶養に入りたいんだけど大丈夫かしら?」

実は彼女、9年来の付き合いのある方。住宅購入の相談を受け、「買わない方がいい」と強く勧めて今に至ります。当時は、このような嬉しいご連絡をいただくなんて想像もつかなかったな……。

夫の死亡保険金を原資に住宅購入を希望

あれは9年前のことでした。彼女(B美さん)は未亡人となり、約3000万円の死亡保険金を受け取ることになり、それを原資に、住宅購入を考えているとのことでした。

B美さんにとって差し迫っていることは「賃貸で家賃を払い続けるのはもったいないと思うので、徳島で1000万円~1500万円ほどの中古物件を購入したいが大丈夫だろうか?」というもの。B美さんには2人の娘さんがいらっしゃいますが、将来、地元で下の娘さんと生活していくことを想定していました。

住宅購入のための原資は旦那様が残してくれた3000万円の保険金です。虎の子のお金ですのでB美さんも、失敗または後悔するような使い方をしたくない気持ちが非常に強かったようです。

住宅購入, しない方がいい, 理由 (写真=Thinkstock/GettyImages)

自分でキャッシュフロー表を作成していた

このとき感心したのは、相談者の方ご自身が、我々FPのメイン業務とも言える、今後の収入と金融資産で生涯の支出をまかなえるかを確認するキャッシュフロー分析をご自身でエクセルを活用して、ほぼ完ぺきに作成していたことです。

ご自身でも、キャッシュフロー表を見て何とかやっていけるんじゃないか?と思っていたのでしょう。既に、胸がときめく数件の物件情報をお持ちで購入することが前提だったように思います。

しかし、住宅購入は、「夢のマイホーム」と言われるくらいですので、冷静な判断ができずに決断してしまう可能性があります。

お客様が作成いただいたほぼ完ぺきなキャッシュフロー表はあるのですが、私のほうでも“念のため”住宅を購入した場合の資金の流れを確認しました。

その私から出した分析結果は、「購入は無理と言えないまでも、ギリギリですね」というものでした。

「夢のマイホーム」買わないことを強く勧めた理由は

住宅購入相談の場合、「無理とは言えない」結果だと支出対策、収入対策、運用対策でゆとりをもって購入できるよう方策を探っていくことが多いです。

しかし、今回のケースでは「急いで買わない方がいいのでは?」ということを“強く”提案しました。その理由は、2人の娘さんにありました。(後編に続く)

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