(写真=PIXTA)

まだまだ問題だらけ? 国内初の不妊治療保険「シュシュ」は本当に役立つのか

保険マニアが徹底検証!

2016年10月、国内で初めて不妊治療の保険が発売されることになりました。日本生命の「シュシュ」という保険です。

しかし、本当に役立つのでしょうか? 検証してみたいと思います。

不妊治療の保険の内容を分解する

「シュシュ」の特徴は、三大疾病の医療保険に「出産給付金」と「特定不妊治療給付金」がプラスされていることです。中身を分解すると、

  • 三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)の保障
  • 出産給付
  • 特定不妊治療の保障

となっています。

それぞれの保障内容を詳しく見てみると、次のようになります

三大疾病の保障

三大疾病とは、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の3つです。

がん(悪性新生物)は診断が確定したときに300万円給付されます。

急性心筋梗塞、脳卒中は、60日以上所定の状態になった時、または治療のための手術を受けたときに300万円支給されます。

出産給付

出産給付金は、1年間の不担保期間の後、

  • 1人目10万円
  • 2人目30万円
  • 3人目50万円
  • 4人目70万円
  • 5人目以降は、1人につき100万円

が給付されます。

特定不妊治療の保障

さて、話題の「特定不妊治療」の保障は、「体外受精」と「顕微授精」が対象です。

不妊治療, 保険, シュシュ (写真=Thinkstock/GettyImages)

不妊治療には、「タイミング法」と「特定不妊治療」の2種類あります。「タイミング法」は健康保険の適用になりますが、「特定不妊治療」は健康保険の適用はなく、高額な費用がかかります。特定不妊治療にかかる費用は、体外受精・顕微授精が1回30〜50万円となっていて、不妊治療を通じて100万円以上かかる場合が多いようです。

そこで、「シュシュ」では、体外受精、顕微授精を行ったときの費用を保障してくれるというわけです。保障金額は、

  • 1~6回目は、1回につき5万円
  • 7~12回目までは、1回につき10万円

となっています。

ただし、2年間の不担保期間があり、加入して2年間は体外受精や顕微授精をしても保険金はおりません。

支払限度は12回目までですので、最大12回行うと総額で90万円の保障があるということになります。

月額保険料の約1万円は高いのか?安いのか?

次に、「シュシュ」の保険料を見ていきましょう。契約ができるのは16歳から40歳までの女性です。保険期間は、10年、15年、20年の3種類です。

保険料は、年齢や保険期間によって異なりますが、1カ月あたり9500円~1100円、つまり約1万円となっています。

不妊治療保険 (画像=プレスリリースより)

保険期間満了時には、保険期間10年なら100万円、15年なら150万円、20年なら200万円が最大で戻ってきます。給付金を受け取った場合は、差し引かれます。

30歳で保険期間15年でシミュレーション

30歳で15年を例にとってみてみましょう。

月額保険料は1万227円ですから、保険期間終了までに支払う金額は184万860円(=10227円×12か月×15年)です。

満期一時金があり保険期間が満了で給付金の支払いがなかった場合は、最大150万円戻ってきます。

つまり、30歳から45歳までの15年間、約185万円を支払って、何もなければ、150万円戻ってくるというわけです。

これだったら、185万円を貯蓄しておいても、いいのでは?と思いませんか。

特定不妊治療には助成金や医療費控除もあります!

先程、特定不妊治療(体外受精・顕微授精)には1回あたり30万円~50万円がかかると説明しましたが、特定不妊治療には、助成金があります。

不妊治療, 保険, シュシュ (写真=PIXTA)

対象となるのは夫婦合算の所得が730万円未満の人で、初回40歳未満は通算6回まで、初回43歳未満は通算3回までになり、1回あたりの助成額は15万円です(2016年4月から変わりました)。

また、特定不妊治療は医療費控除を使うこともできます。

年間で10万円以上かかった医療費については、税金が控除され、かかった医療費の全額ではありませんが、一部が還付されます。不妊治療は金額が大きいのでぜひ医療費控除を使ってください。

所得税が10%の場合は、10%の住民税と合わせて、合計20%の税金が戻ってきます。(ただし、保険で受け取った給付金を引いた金額になります)

不妊治療保険、まだ、おすすめはできません

近年、晩婚化により出産年齢が上がっていることから、不妊に悩んでいる夫婦が多く、実際に検査や治療を受けたことがあるのは6組に1組(16.4%)あるそうです。

こういった不妊治療のための保険ができるのは、たいへん歓迎できることですが、まだまだ商品としては勧められるところまでいっていない感じです。

30歳で、月額1万円、年間12万円を、将来の子どものために貯めておく、めでたく子どもができれば教育費に使えます。もし、子どもに恵まれない場合は、不妊治療のために使ってはどうでしょう。さまざまな選択肢がもてるのではないかと思います。

もっといくつか商品が登場して内容の改良が進んでいくことを期待します。そして、それ以上に行政での補助金のさらなる拡充、ひいては健康保険の適用対象になることを願っています。

不妊治療中や妊娠中には、医療保険に入れない?

不妊と保険という観点でこのほか、注意してほしいのは、不妊治療中には医療保険に入ることはできないということです。または入ることはできても、特定部位不担保といって一部の保障は対象外になります。

そんなときでも、不妊治療中に入れる保険があります。それはミニ保険ですが、アイアル少額短期保険の「子宝エール」という商品です。月額保険料は2000円ぐらいです。

同じように、妊娠がわかると、医療保険に入ることができなくなります。または保険に入ることはできますが、一部の部位不担保になります。時には切迫早産、帝王切開などコストがかかることもありますが、保障からは外れてしまいます。

妊娠中でも入れる保険は、さきほどのミニ保険ですが、たとえばエイ・ワン少額短期保険の「エブリワン」という商品などは妊娠32週目までの妊婦が加入できます。

妊娠中はなにかと心配ですよね。ですので、健康保険もありますし、自治体には、いろんな補助金(出産一時金、出産祝い金、育児休業給付金などなど)があります。とても役に立つので、しっかりと手続きをとってみてください。

参考:新製品「シュシュ」の発売について(プレスリリース)

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