セミナー会場は、トラストバンクが運営する有楽町の「ふるさとチョイスCafe」。画面左から、当日の広報を担当した、マネーフォワードの青木香菜子さん、トラストバンクの玉越有美子さん

「お礼の品」で女子会も! 意外と知らない、ふるさと納税利用者の実態とは

「ふるさと納税」セミナーリポートより

ブランド牛にお米、伝統工芸品、地域優待券……。全国各地から豪華な「返礼品」がおトクに受け取れるとして、「ふるさと納税」が話題を集めています。

フリーライターの筆者も今年の収入もそろそろ見えてきて、あといくら寄付できるのかが気になっていたところ、制度を基礎からおさらいするセミナーが2016年9月8日、都内で開かれました。

ふるさと納税,返礼品,税制改正,セミナー 2016年9月8日開催された「ふるさと納税セミナー」。説明を行う、トラストハ?ンクの田村悠揮さん(写真=筆者撮影)

「自分は一体、いくらまで利用できるの? 」という基本はもちろん、「ふるさと納税」利用者の意外な活用例も。おトクな情報満載の「ふるさと納税」セミナーをリポートします。

「ふるさと納税」は2008年に誕生

セミナーは「ふるさとチョイス」 を企画・運営するトラストバンクと、マネーフォワードの共催です。

まず、基礎知識から。ふるさと納税は、2008年の第一次安倍内閣のときに制度がはじまり、すでに8年が経っています。意外と歴史があるのですね。

制度がはじまった背景の1つは、地方の税収が減っていることにあります。地方で育ち、教育を受けた人が、就職を都会でするケースが多く、税金が地方に戻りにくくなっているのです。

実際、トラストバンクの田村悠揮さんも、進学で東京に出てきてそのまま就職し、税金を東京に納めているのだそうです。「地方から出てきた人の税金が都会に集中しているなか、お世話になった地域に自分の意思で少しでも納税(寄付)できても良いのではないかという思いから生まれた制度です」(田村さん)

ふるさと納税,返礼品,税制改正,セミナー (写真=筆者撮影)

14億円集めた自治体が登場! 認知度が一気に拡大

そんな「ふるさと納税」が広く知られるようになったのは、2011年。東日本大震災の後でした。

総務省の「ふるさと納税に関する現況調査」によると、ふるさと納税の受け入れ額、件数とも2015年に爆発的に増加しています。被災地支援の方法として、ふるさと納税が注目を集めたのです。

参考:ふるさと納税に関する現況調査について(平成27年9月30日時点)

2015年から寄付上限額がアップしたことのほかにも理由がある、と田村さんは語ります。

「2014年に自治体の担当者を驚かせるできごとがありました。長崎県平戸市が、ふるさと納税で14億6200万円の寄付を集めたのです」

ふるさと納税といえば、寄付しした人に対する自治体からのお礼の品(返礼品)が注目を集めがちですが、これは義務ではなく、あくまで善意によるものです。つまり、寄付を受けた自治体の自主的なお礼なのです。ただ、寄付する側からは「お礼の品をゆっくり選びたい」という要望もありました。

そこで平戸市は「カタログポイント制度」を導入しました。紙のカタログを配布し、寄付した人が返礼品を選べるようにした上、ポイントを使って好きなときにさまざまな組み合わせを選択できるようにしました。

この工夫と成果を見て、「うちも工夫次第でもっと街を知ってもらえるかもしれない」と自治体担当者の期待が膨らみ、オリジナリティーあふれる取り組みが全国各地に拡大したのです。

そういえば最近、ポイント制をとって、ポイントの翌年持ち越しができるといった自治体も増えていますね。

ふるさと納税,返礼品,税制改正,セミナー (写真=筆者撮影)

年収400万円なら、寄付の上限は4万3000円が目安

基礎を押さえたところで、気になるポイントを見ていきましょう。気になるのは「自分はいくらまで寄付できるの?」ですよね。

「最低負担の2000円で自分がいくらまで寄付できるのか」は、その年(1月1日~12月31日)の収入で、毎年変わってきます。詳しく知りたい人はこちらのシミュレーターへ

ふるさと納税,返礼品,税制改正,セミナー 独身、共働き給与所得者の年間寄付額の目安

年収300万円なら2万8000円、年収400万円なら4万3000円が上限の目安となります。寄付する自治体が複数となっても上限は変わらず、寄付金の合算金額が上限金額に収まっていることが必要となります。

ただしこの上限はあくまでも「今年の収入から払う税金」をベースにしているので、まだ収入も定まっていない今、計算できるのはあくまでも「目安」ということに注意が必要です。

さらに、上の表にあてはまるのは、給与所得者だけです。自営業者の場合は、昨年支払った税金を元に計算する方法はありますが、収入も経費も毎年大きく変わる人は、なかなか計算しづらいのが実情です。詳しい金額を知りたい場合は、税理士に相談することをおすすめします。

上限を超えると……超えた分は、単なる寄付になります。

上限を超えて寄付をするとどうなるの?

通常、上限金額の範囲内でふるさと納税を行った場合、確定申告をすれば、寄付した金額のうち2000円を超える部分が、「税額控除」として自分の手元に戻ってきます。結果、実質負担2000円でさまざまな返礼品を受け取ることができるため、「おトク」だと言われるのです。

参考:ふるさと納税の仕組み

一方、上限を超えて寄付した分については、お金は戻ってきません。「返礼品がもらえるので、上限を超えてもかまわない」という考え方もありますが、最低負担を2000円におさえたい人は合計金額に気を付けてくださいね。

「住宅ローン控除」をフルに使っている人も、最低の負担で「ふるさと納税」できる上限額が左右することもありますから、気になる人は自分のケースを調べてみると良いかもしれません。

「ワンストップ特例制度」は意外と面倒かも?

「おトク感」のあるふるさと納税ですが、唯一のデメリットは確定申告の手間です。そこで、2015年に始まったのが、寄付する自治体が5つまでの場合、確定申告がいらなくなる「ワンストップ特例制度」です。

ただし、この「ワンストップ特例制度」を利用するには、寄付先の自治体へ、確定申告に代わる申請書を郵送する必要があります。さらに2016年度(今年分)からは、マイナンバーの記載がはじまります。みなさんよくご存じのとおり、「個人番号カードは作っていなくて、通知カードならある」場合、「通知カードのコピー」と「身分証のコピー」を同封する必要があります。

ちなみに年収2000万円以上の人、給料を複数箇所から受け取っている人、不動産所得がある人など、もともと確定申告が必要な人は利用できませんのでご注意を。

参考URL:2015年1月から控除額約2倍、4月から確定申告不要のワンストップ特例制度開始!

ふるさと納税, 返礼品, 税制改正, セミナー 自治体の「返礼品」の一例(写真=筆者撮影)

「ふるさと納税」利用者は41%。返礼品で女子会、ホームパーティー

さて、セミナー後半はマネーフォワードが約3200人に行った、ふるさと納税に関するアンケートの結果発表です。

参考URL:マネーフォワード、ふるさと納税に関するアンケートを実施

回答者のうち、ふるさと納税を「したことがある」という回答は41%となっていました。意外と多いのか、少ないのか、微妙なところです。

ただ、「したことがない」と答えた人のうち、半数は「今後はやる予定」「興味がある」と回答していることから、関心を持っている人はかなり多いということが分かります。また、「今後やるつもりはない」「これまでやってこなかった」人の理由は、「やり方がわからない」が43%となっており、手続きや手間さえ簡単になれば、もう少しふるさの納税をする人が増えるかもしれません。

また、「ふるさと納税」利用者が自治体を選ぶ基準は、84%の人が「返礼品の魅力」となっており、「返礼品目当て」に納税している人が多いことがわかります。

ふるさと納税, 返礼品, 税制改正, セミナー 自治体の「返礼品」の一例(写真=筆者撮影)

さらに、アンケートからは返礼品の楽しみ方にバラエティが見られました。「家族と利用した」人が大半かと思いきや、意外とその割合は48%。「女子会、ホームパーティ、職場などで友人や知人と一緒に利用した」「家族や友人、知人にプレゼントした」の回答が11%ずつです。

ふるさと納税経験者なら、お肉や農産物がどーん、とキロ単位で届いて、そのボリュームにびっくりした経験を持っている人も多いはず。みんなで分け合っていただく、贈り物として使いたくなるのは理解できますね。

利用者の8割「食費が改善」。地域貢献を考えるきっかけにも

同アンケートでは、ふるさと納税を行ったことで感じる「効果」についても聞いています。

家計の効果では82%の人が「食費が改善」と回答。意識の変化では「地域貢献や災害支援について考えるようになった」が35%、次いで「家計状況の改善を感じた」が28%です。

また、「今年、新たにはじめたお金の使い方」として、1位の定期預金の次にふるさと納税が入りました。その次にNISA、株式投資、投資信託が続きました。

ふるさと納税, 返礼品, 税制改正, セミナー FPによるマネーセミナーも行われるなど、充実した内容でした(写真=筆者撮影)

寄付先が「第二のふるさと」に

アンケート結果で興味深いのは、返礼品が魅力的なことがきっかけで「ふるさと納税」を行い、家計が助かった!と効果を実感するのと同時に、地域貢献や災害支援などについて考えるような意識が高まった、と回答している人の多さです。

返礼品などをもらって関わることで、その自治体が何となく身近になり、ニュースなども「自分ごと」としてとらえることができるのかもしれません。

自治体によっては「ふるさと納税」の際に、寄付金の「使いみち」が選べる場合もありますし、「こんなふうに使いました」と報告が届く場合もあります。

こんなふうにお付き合いがはじまり、寄付した自治体が自分にとってまさに「ふるさと」になっていったら素敵ですね。

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