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資産運用だけでセミリタイア生活はできるのか

「労せず儲ける」はウソ? 現実的なセミリタイアを目指すには

こんにちは。梅雨が明けて、筆者はいよいよ富士山でのお仕事に息巻いています。

好きなときに好きな山に登り、温泉に入れてお金ももらえるなんて、実に贅沢なことです。もちろん責任は伴いますが、歯応えのある仕事を自由に満喫できるのは会社勤めではないからこそ。ひとつかみの勇気と資産さえあれば、セミリタイアは決して遠い夢ではありません。

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セミリタイアってなに?

semi(半)retire(リタイア)。英語圏における正しい表現はearly(アーリー)retirement(リタイアメント)で、文字通り、早期退職です。定年前に会社を辞めて、悠々自適な毎日を過ごすといったイメージが強いですが、筆者は、理想の生き方を手に入れるための手段だと思っています。

セミリタイアのメリット・デメリット

セミリタイアのメリットは何といっても、好きなときに好きなことができることではないでしょうか。会社を辞めてしまえば、閉鎖的な人間関係に煩わされることはありません。嫌いな上司に延々と話を合わせて鬱病や統合失調症になる心配も皆無です。毎朝の通勤電車にもまれるストレスとは無縁ですし、夜遅くまでどっぷりと本を読んでいられます。

思い立ったら今日にでも航空券を取って旅行へと繰り出せますし、何なら海外移住という選択肢もあります。あなたが本当に望む場所へ行けるようになるのです。

一方で、デメリットも忘れてはいけません。これはメリットとも紙一重の、意外な落とし穴なのですが、うっかりすると、本当に家から一歩も出なくても、何もしなくても生活できてしまうことです。意識して規則正しい生活を心掛けていないと、生活は簡単に乱れ、肥満になり、体調を崩してしまいます。人間の筋力の衰えるスピードたるや凄まじいものです。気付いたら自堕落な生活をまっしぐら……なんてことも。

また、職場などの人間関係から一切解放され、一人、無所属で過ごす膨大な時間を手に入れるわけですが、その意味も考えておきたいところです。退職後の目的を明確化しておかないと、自分がまるで社会に寄与していないというような錯覚にとらわれ、真面目な人ほど、ニートや無職になってしまったかのような焦りや劣等感にさいなまれる羽目になります。

また、セミリタイアの成否は資産運用にかかっていますから、例えば不動産投資をしているならば、固定資産税や都市計画税、株式投資ならば地政学的リスクなど、いつ増税や景気後退で資産が食い潰されるとも限りません。常に、見えざるストレスと闘うことになるのです。

日本においてセミリタイアを選ぶ人は少数派です。相談相手が見つからず、極度のプレッシャーを一人で抱え込み、かえって働いていたころの方が幸せだった……なんて本末転倒なことを口にする人も散見されるのが難しいところです。

セミリタイア, 資産運用, 不動産投資, ノマド, コワーキング, シェアハウス, 民泊, 長期投資, 大家 (写真=Thinkstock/GettyImages)

セミリタイアにはどれくらいのお金が必要なのか?

それでも、自由に生きたいのだという固い意志を持った方のために、ここからは少し具体的なお話をしていきましょう。

まずは、貯蓄についてです。よく、40歳男性が妻と子を養いながらセミリタイアするには、目安として3億円が必用といった論調を耳にしますが、正直、貯蓄はそんなに重要ではありません。なぜなら、貯蓄は尽きるものだからです。ちょっと贅沢をしてしまえばそれが癖になり、簡単に人生設計に破綻が生じます。

それよりも、お金があなたのために働いてくれる仕組み――万が一、明日あなたが身動き取れなくなったとしても、自動的に収入が生まれ続けるフローと、そのシステムを作り上げることが大切です。

セミリタイアの鍵は、資産運用です。

「つまり『不労所得』が大事なんですね!」

……いいえ。筆者の実感として、「不労所得」という言葉は正しくありません。限りなく不労に近づけるためのシステムを構築することはできますが、決して労働量がゼロになることはありません。むしろ、このシステム構築には人並み以上のバイタリティーが求められますし、メンテナンスも不可欠です。システム周辺にまつわる膨大な情報を更新し続けていくたゆまぬ努力も必要です。

資産運用とは、要するに投資です。投資は自己責任です。勤め人以上にハードな条件下でありとあらゆる可能性を吟味し、自分の采配だけで迅速に決定を下し続けなければなりません。そこに掛かるストレスはなかなかに苛烈なもので、不労どころから、かなり難易度の高い頭脳労働であるという側面も否めません。

資産運用にリスクはつきもの

自由には責任が伴います。

例えば、不動産投資を行うためには、まずは身銭を切って物件を購入しなければなりません。物件を購入するにはどの層をターゲットに据えるか―。単身の社会人か、ファミリー層か、外国人留学生かなど、周辺環境のリサーチが不可欠です。雨漏りや水回りに問題がないかなど、物件そのものを見る目も養わなければなりません。そのためには本やインターネットでの情報収集に終始せず、どうしたって足を使わなければ無理だと気付く瞬間が訪れます。

自由な時間を得るためには、自分の時間を削って勉強しなければならないことは言わずもがな。そもそも、利回りの計算ができなければ話になりません。物件購入後も、リフォームや入居者募集、入金管理、帳簿付けや確定申告など、意外とたくさんの雑務が待っています。

情報に関していえば、2020年に東京オリンピックを控える今、賃貸だけでなくシェアハウス、コワーキング、民泊と、ありとあらゆるチャンスが押し寄せています。これを「知らない」でいると、それだけであっという間に時代の波に置き去りにされ、無駄な改装費をかけたり空室を放置したりすることになる可能性も。空室のある不動産は維持費ばかりがかさみ、資産は瞬く間に負債に転落します。

株式投資ならば、隣国がミサイルを飛ばすだけで瞬時に株価が下落するような世界ですから、100万円が30秒でゼロどころかマイナスに振れるなんてことも、決して大げさではありません。日頃からあらゆる媒体のニュースをチェックすることはもちろん、それでも補えない地震などの災害や不測の事態が生じたときにも即座に反応できるよう、逆指値を張っておくなどの工夫が求められます。

つまり、いくら「リタイア」とはいっても、「労せずして儲ける」というイメージと実態はかけ離れているということです。ただ、それでも私自身は、何に労するかを自ら選べるようになるというのは、最大の意義だと感じています。

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セミリタイアの資産運用は「不動産投資」がおすすめ

そうした事実を踏まえたうえで、筆者は不動産投資をおすすめします。理由は安定しているからです。一度入居者が決まってしまえば、基本的に2年は安定した収入が見込めるというのは大きな魅力です。意外に多くの雑務があることは先述した通りですが、それでも、他の資産運用に比べたら圧倒的に手間が少ないのもうまみの一つ。

例えば、帳簿付けひとつを取っても、購入時の物件調査費や登記費用などを除けば、経費として計上するものは管理費、旅費交通費、修繕費くらいではないでしょうか。これは他のあらゆる業種と比べてみても、比較にならない手軽さです。

また、心労という観点でも、阿鼻叫喚(あびきょうかん)としか言いようがない近年の株式市場に比べ、不動産業界はまだゆったりしています。高値つかみしてしまった株は救済のしようがありませんが、不動産ならば、うっかり問題のある物件を購入してしまっても、大家の創意工夫、リフォームや募集のかけ方でどうにかなることが多いのです。これは強みともいえるでしょう。

それに関しては、「こんなに安いの? 不動産投資の意外な真実」で幾つか具体的な事例を挙げているので、よかったらご参照ください。

セミリタイアのための株式投資ならば長期投資を

不動産投資である程度の固定収入が見込めたならば、株式投資に手を出してみてもよいでしょう。ただし、前述の通り株式市場は変動が激しいので、よほど性急な事情がない限り、優待目的での投資や長期投資がおすすめです。

例えば、筆者は5~10年スパンでロボット関連株だけを持ち、上がっても下がっても基本的には気にせず完全放置しています。損益率は最も高いときで70%、現在は30%ほどなので、決してうまいやり方ではありませんが、銀行の金利と比べればよほどマシだと割り切っています。

セミリタイアのカルマとして、うまくいくほど毎日が退屈で仕方がないという皮肉が予想されるのですが、そうしたとき、応援できる会社があるのはうれしいものです。また、長期保有していれば優待を受けられる会社も多いので、飲食や医療品など、世間から絶対になくならず、日常生活に欠かせないものは優待で補ってしまうというのも手かもしれません。

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セミリタイアするならば目的を明確に

結論として、資産運用だけでも十分にセミリタイアは可能です。できますが、できるからといって早まらないことを個人的には強くおすすめします。何を隠そう、筆者自身、5年近く社会から隔絶された隠遁生活を送っていたのですが、控えめに言っても生きている意味が分からなくなりました。

もし、またセミリタイアをするのならば、なぜ、何のために時間を有効活用したいのか、一度きりの人生をどう生きたいのか。自分の中でテーマのようなものを見つけておくとよいかもしれません。

そうすれば、一人になっても膨大な時間におぼれずに済みます。セミリタイアは、あくまでも理想の生き方を実現するための手段に過ぎません。どうぞ、あなたがあなたの本当に望む場所へ行けるよう、微力ながらエールをお送り致します。

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