(写真=Thinkstock/Getty Images)

「女性管理職が増えると企業の業績がよくなる」本当の理由

「えっそうだったの?」ちょっとショックを受けるかもしれません

最近、多くのメディアで女性役員を導入する会社がもてはやされる傾向があります。そして、「女性役員が多い会社ほど、企業業績が良いよね~!」的なことも記載される場合も少なくありません。

この論調の裏側には、女性役員が多い会社ほど風通しの良い会社であり、女性のパワーを企業業績向上に結び付けられる良い会社ということを伝えたいとの思惑があるようです。

でも、本当でしょうか? 私は、これまでに女性役員と企業業績、企業の意思決定の仕組み(コーポレートガバナンス)の関係を研究してきました。そして、この4月から私自身がエイボン・プロダクツという化粧品会社の社外取締役に就任しました。

今回は、女性役員と企業業績の関係について、研究と経験から得られた知見を、みなさまのキャリア形成やマネー運用に活かせるようなお話しとしてシェアさせてください!

実は、女性役員と企業業績の間に明確な関係なんかない!

実は、アカデミックの世界では、女性役員と企業業績の関係については、明確な理論は確立されていません。仮に、女性役員を推進している企業ほど企業業績が良かったとしても、その時代だから成立しただけかもしれません。 

更には、女性役員を採用しがちな業種は、相対的に利益率が良い企業が集まっているだけかもしれません。

時代、業種、企業規模を考慮してみると…

例えば、IT企業と製造業では、平均的には前者の利益率が高い傾向です。また、IT企業は創業年数の浅い企業が多く、女性採用に抵抗の無い企業も多いようです。

女性役員と企業業績の関係を考えるには、時代・業種・創業年数・企業規模…女性採用に影響がありうる要因を考慮しないと、正確な因果関係は導けないのです。

メディアで報道されている、女性役員が多いほど、業績が良い企業というのは、こうした要因を考慮してない場合がほとんどなんですね。

それでも何か、特徴はないの?

世界中で、上記のような要因を考慮した女性活躍推進と企業業績に関する研究が行われてきました。国によっては女性管理職や取締役の多いと業績が比例する傾向が確認されています。しかし、逆に女性登用に積極的な企業ほど、業績がパッとしない企業が多いとの報告もあります。   

女性管理職, 業績, 関係 (写真=Thinkstock/GettyImages)

肝心の日本ではどうでしょうか。2000年代前半の約5000社の日本企業を対象にした論文一つを見ると、興味深い結果が報告されています。

時代・業種・企業規模…といった女性推進と関係しうる要因を一定とした場合、特定の業種に至っては女性管理職の多さと企業業績の良さは強く比例する関係が報告されています。では、なぜ良いのか?

女性管理職が多くなると、企業の業績がよくなる本当の理由

女性の役員や管理職は、男性に比べて賃金が安い傾向にあり、その人件費削減効果(!)が企業業績に良い効果をもたらしている可能性が示されているのです。

女性は男性に比べて高学歴者が少ないことや、女性はライフサイクルが複雑なので勤続年数が男性より短い傾向にあることから、結果として平均的に女性管理職の方が男性管理職より賃金が低いだけでしょ!と突っ込まれる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、こうした要因を経済学の統計的手法を用いて取り除いても、女性管理職による人件費削減効果が企業業績に影響していることが確認されているんです。

あなたは大丈夫?

女性大統領、女性首相、女性社長、女性役員…と、世界中で女性リーダーの存在感が増しつつあります。そして、日本も政治だけでなく、企業内で女性リーダーの数が増えています。   

欧米上場企業においては、全役員に対する女性役員比率が10%台を余裕で超えている国ばかりです。しかし、日本の場合は数%程と、欧米に比べると少なさが目立ちます。そのような状況を打破して、多様性のある企業・社会を作るために、女性役員を積極的に採用する企業が徐々に増えています。

私は、女性を積極採用する会社の全てが、人件費を低く抑えたいと考えているとは思っていません。でも、そういう狙いがないのか、自分は安く見積もられていないか、再考してみるのも、悪くないかもしれません。

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