
(写真=Thinkstock/Getty Images)
増える30代の出産。マネープランで考える本当の適齢期とは
キャリアも子供も、全部諦めたくない人が覚悟しておくべきこと
最近、30代で出産する人が増えているようです。2016年1月1日付の朝日新聞によると、2015年の国内の出生数は5年ぶりに増加に転じましたが、30代、特に30代前半の方の出産が全体の数を押し上げたそうです。
筆者の周辺でも、同級生など30代に入ってから出産の便りが増える一方、未婚で出産計画の立たない友人は「子供が欲しい」と話します。「適齢期」まっただ中の友人達は、この話題で持ちきりです。
「出産適齢期」はつい、体力面を中心に論じられることも多いですが、マネープランやキャリアプランも考慮すると一体いつのことになるのでしょうか。そしてそれは誰が決めるのでしょうか。
ファイナンシャル・プランナー(FP)であり、10代で出産を経験した筆者が、出産期を「10代後半~20代前半」「20代後半~30代前半」「30代後半~40代前半」の3タームにわけて、それぞれメリット・デメリットを比較してみます。
体力十分、でもお金に余裕のない10代後半-20代前半
まず「10代後半~20代前半」の出産は、体力面でいえば文句なしです。子供の手が離れる時期を、出産時から小学校入学時ころまでとすると、約7年間は体力勝負になってきますので、やはり「若い」に越したことはなく、若さや体力はお金で買えるものでもありません。ただし、それ以外のデメリットは大きなものになります。
まず、金銭的余裕が圧倒的にないこと。また、社会人になって間もないわけですから、周りの同期がキャリアを形成していくなかで、家庭で育児をしていると、社会から取り残されたような状態になるのは事実です。
しかしこの年代の最も尊い財産「若さ」を、フルに活用すればよいのです。 なるべく早めに出産という力仕事は終わらせ、キャリア形成のため社会に出て知識と経験を積んでいけば、今現在が大変なことも、将来には報われることになるでしょう。
ちなみに筆者が出産したのは10代最後の歳でした。社会人としてキャリアをスタートさせたのは23歳。大学で勉強できなかったことは今も心残りです。とはいえ、子供が成人するころ、自身の年齢は30代後半。そこから何かを始めても遅くはないのです。
乗りかかったキャリアに悩むアラサー
「20代後半~30前半」は「適齢期」と思われる人が多いと思いますが、それなりに悩みもあります。 まず体力面ではまだまだ問題のない時期。金銭的には、パートナーの収入によって大きく変わるところもありますが、20代でしっかり貯蓄をした人は、そのまま堅実にライフスタイルを維持できるでしょう。
20代に貯蓄ができなかった人の場合、それまで自身のためにしか使ってこなかったお金を、教育費、住宅ローンの支払い、さらに将来の教育費のための貯蓄と、一気に変更を迫られることになります。
社会人になってある程度「自分のお金」を自分のために使ってきた人にとっては、少し苦痛に感じるかもしれません。
キャリア面はどうでしょうか。30代前半ともなれば、チームリーダーに抜擢されることもあるでしょう。今後さらなるステップアップを期待されていれば、正直なところ出産が「弊害」に思えるかもしれません。ただし、職場復帰をする年齢が30代後半までに収まれば、その後のキャリアアップも十分に図れます。
やはり、バランスで考えれば、この時期が最も「適齢期」と呼べるかもしれません。
お財布には余裕。一方、不妊治療と戦うアラフォー
「30代後半~40代前半」は、ご想像通り、体力面で大変な部分が多いでしょう。しかしそこは「経済的余力」があれば、シッターを雇うなどして、越えられないものではありません。
そうです、「お金」の面でいえば、圧倒的に強いのがこの年代です。
ただし、今現在の貯蓄額が最も多いこの年代は、子供が成人を迎えるころ、同時に定年の時期にさしかかることになります。自身の人生設計において、貯蓄は減り続けることを意味しますので、キャッシュフローがうるおっている時期に甘んじて財布のひもを緩めていると、後々自身の老後にしわ寄せが来ることになります。
キャリアの面では、ある程度何かしらの役職についている年代です。育児休暇を取って職場復帰をするにあたり、その後どのように歩んでいくのかは道筋を立てて計画することが可能でしょう。
また、この年代に最も多い悩みは「不妊治療」です。 そもそも出産は、妊娠しなければ始まらないもので、30代後半〜40代前半の層では、妊娠までに大変に苦労される方が多いのも事実です。
ファイナンスの面でいえば、出産後の話だけに絞ると、経済的余裕のあるこの年代は一見理想的に思えますが、妊娠までの経緯をお話ししてくださる方に教えていただいたところ、「妊娠まで」が大変なのだといいます。
不妊治療費で100万円単位のお金が動くのは当たり前。そう考えると「適齢期」などというのは、理論上の話であって、本人が子供を望む時に授かれば、もはやその時がその人の「適齢期」なわけで、他人や世間が決めるものではないのかもしれません。
デメリットばかりに目を向けないことが大切
どの年代でもそれぞれに、「大変なこと」はつきものです。自分がある年代で出産を経験すると、ついそのデメリットにばかり目がいきがちですが、実は自分が「当たり前」にやれている事が他の年代の人から見れば、羨む事であることも多いのです。
出産時期は自分の意志だけでコントロールできるものではありません。それぞれのメリット・デメリットを考える時の参考にしてみてください。
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