(写真=Thinkstock/Getty Images)

【連載】「シェアオフィス「Real Woman」の午後」

#07 会社を辞めた!税金と社会保険はどうなるの?

個人事業主になると、会社員と同じようにはいかないのです。

ここは東京・丸の内の女性専用シェアオフィス、その名も「Real Woman」。フリーランスで働く30代の女性が、日々楽しく、時に騒ぎながら仕事をしています。

12時になると、「Real Woman」のランチスペースは大にぎわい。パーソナルスタイリストの美幸(31歳)、行政書士の麻衣子(34歳)、イベント企画の理沙(32歳)は、いつものテーブルを陣取ります。異業種ながら仲良しの3人。今日も、ランチ兼情報交換会が待ち遠しくて仕方ありません。

3人が席につくと、隣のテーブルでは20代半ばと思われる若い女性が、何やら険しい顔でパソコンを見つめています。

美幸「あの~どうしました?」

女性が眉間にシワを寄せてうなっているのを見かねて、美幸が声を掛けます。

加奈「はっ、すみません。ちょっとわからないことがあって調べていて……」

その女性はパソコンの画面からパッと顔を上げ、困惑した表情のまま3人のほうを見つめます。

麻衣子「何かお困りなら、相談に乗りますけど。私たちでわかることなら」

加奈「あのぅ……皆さんフリーランスの方々ですよね。私は山田加奈といいます。先月会社を辞めて勢いで独立したものの、税金のこととかよくわからなくて……」

加奈と名乗る女性は、しっかりした雰囲気の麻衣子に救いを求めるべく、まくし立ててしゃべり始めました。

理沙「へぇ~。勢いで独立してとりあえずオフィスは借りちゃうなんて、加奈さんやるね!」

美幸「それは失礼なのか褒めているのか……」

麻衣子「これから3人でランチするんだけど、加奈さんも一緒にどう?私たちのわかる範囲でなら教えられるわよ」

加奈「ありがとうございます!ぜひお願いします」

個人事業主になったら税金はどうなる?

麻衣子「まずは税金のことからね」

麻衣子が得意げに話し始めると、加奈はノートとペンを取り出してメモの用意をします。

加奈「お願いします!」

麻衣子「個人事業主になったら、これまでとは違って自分で手続きをして税金を納めることになるのはわかるわよね?納めなければならない税金は、所得税と住民税、個人事業税、消費税などがあります」

加奈「えっ、そんなに……」

理沙「ほんとに何も知らないんだ」

麻衣子「まずは、所得税について。1年間の総収入金額から必要経費を引いて計算して、所得税の確定申告をします」

美幸「1年間っていうのは1月1日から12月31日のことね」

理沙「確定申告の時期は、だいたい翌年の2月16日~3月15日の1カ月くらいの間かな」

加奈「ふむふむ」

シェアオフィス7_1 (写真=PIXTA)

麻衣子「次、住民税ね。住民税は、納付書の通知が毎年6月に送られてくるの。そこに記載されている金額を、6月・8月・10月・1月の4回に分けて支払うの」

理沙「住民税は市区町村で計算してくれるから、自分で計算する必要はないよ~」

美幸「そうですね。でも、金額は確認しておいたほうがいいかも。あと、納付書は4枚だけど、一括で支払ってもいいのよ」

加奈「ふむふむ。住民税は……っと」

加奈は3人の言葉を漏らさずノートに書き留めています。麻衣子を中心とした税金のレクチャーは続きます。

麻衣子「あとは個人事業税と消費税ね。個人事業税も納付書が送られてくるから、その金額に従って納めるの。最後に消費税だけど、これは課税売上高が年間1000万円を超えてくると考えなきゃいけない税金なの」

加奈「1000万……じゃあ、まだ全然知らなくてもいいですね」

麻衣子「ダメよ!!今はそう思っていても、将来どうなるかわからないでしょ?」

美幸「消費税は、前々年度の課税売上高が1,000万円を超えた場合に払う税金なの」

麻衣子「でも気を付けなきゃいけないのは、前々年度が1,000万円以下だとしても、前年の1月1日~6月30日までに1,000万円の課税売上高が出ていれば、消費税を支払う必要があるのよ」

加奈「そうなんですか……。税金のことは大体わかりました!次は社会保険をお願いします」

独立後の社会保険について

ランチタイムが半分過ぎたところで、今度は社会保険の講義が始まります。

麻衣子「会社員のときは健康保険と厚生年金に加入していたけど、これからは国民健康保険と国民年金になります」

加奈「はい、手続きした……ような気がします」

理沙「もう~、しっかりしてよ」

美幸「理沙さんに言われたらおしまいだからね」

理沙「……」

麻衣子「国民健康保険や国民年金に切り替える手続きは、退職日の翌日から14日以内に済ませないといけないから、もう終わっているはずね」

加奈「年金や健康保険って、どうやって支払えばいいんですか?」

麻衣子「手続きしたときに支払い方法を選択しなかった?金融機関やコンビニでも払えるけど、口座引き落としやクレジットカード払いにすると忘れなくて済むし、手間もかからないわね」

理沙「絶対忘れちゃうから、自動で引き落とされるようにしておいたほうがいいよ」

美幸「理沙さんと加奈さんはタイプが似てるっぽいから、そのほうがいいかも」

個人事業主になる時に気を付けたいこと

ランチタイムもあと残りわずか。レクチャーしていた分、3人の昼食は進んでいません。急いでおかずを口に運びます。

加奈「皆さん、丁寧に教えてくださりありがとうございます。私、本当に何も知らずに会社を辞めてしまって……」

麻衣子「いいのよ。これからこのオフィスで会うことになるだろうし、仲良くしましょう」

加奈「最後に一つだけ。個人事業主になったら、何に一番気を付ければいいですか?」

麻衣子「やっぱり、売り上げや経費をしっかり把握しておくことじゃないかな。所得税だけは自分で確定申告することになるだろうしね」

理沙「これからもっと学んでいけばいいと思うよ」

美幸「ところで、加奈さんって何のお仕事なの?」

理沙「そうそう、それを聞いてなかった!」

加奈「それが、まだ具体的に決めてなくて……。ネットで何かしたいってことだけしか……」

麻衣子「このオフィスって事業内容詳しく決まってなくても借りられるのね」

理沙「勢いあるね~。若いって素晴らしい!」

一言メモ

独立して個人事業主になったら、会社員のときと同じようにはいかない。税金も自分で支払うし、確定申告といったちょっと面倒な手続きもある。退職して独立したいと考えているなら、あらかじめ学んでおこう。

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