(写真=Thinkstock/Getty Images)

月がきれいですね…に恋心を乗せたのはあの文豪

没後100年の今も光る、夏目漱石の言葉に学ぼう

『吾輩は猫である』『こころ』『坊ちゃん』――。 数多くの名作を残した夏目漱石は、言わずと知れた日本を代表する小説家ですが、実は評論家、英文学者でもありました。本名は夏目金之助。2016年の今年は、ちょうど没後100年という節目の年で、来年は生誕150年となります。

漱石の小説の中には、100年近くたった今でも心に響く名言が溢れています。

名言1「食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く」

猫などはそこへ行くと単純なものだ。食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く。

出典:『吾輩は猫である』青空文庫

現代に生きる私たちが見習うべきことを表した一文ではないでしょうか。私たちも幼少期には、思ったままの感情をそのまま出し、怒ったり泣いたりしていました。けれども、成長し大人になるにつれて、人前で感情を出すことが減ってきたように思います。

感情を出さず、本音を隠して建前だけでやり過ごす。確かにトラブルにはなりにくいかもしれませんが、それは本当に良いことなのでしょうか?

見かけと自分の本当の気持ちとのギャップに苦しみ、いつの間にか自分の感情すら分からなくなっていた。そんなことはありませんか?

これからはちょっとだけ、猫を見習い、もう少し自分の感情に素直になってみることをオススメします。猫のように素直に感情を表すあなたに共感する人は、あなたの周りにきっといるはずです。

名言2「自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ」

あたりまえじゃないか。ぼくを人にしたって、同じことだ。ぼくに金が余っているとするぜ。そうすれば、その金を君から返してもらうよりも、君に貸しておくほうがいい心持ちだ。人間はね、自分が困らない程度内で、なるべく人に親切がしてみたいものだ。

出典:『三四郎』青空文庫

解釈の仕方は人それぞれだと思いますが、私も同じように「できる限りの親切」を行いたいと思っています。周りに偽善者と思われるかも……なんて、気にする必要はまったくありません。そして、親切が仇(あだ)になって返ってくるような世の中にはならないことを願っています。

名言おまけ「月がきれいですね」

もう一つ、漱石の人柄を表した有名なエピソードからご紹介しましょう。英語教師をしていたとき、「I love you」を「我君を愛す」とダイレクトに訳した生徒に対して、漱石はこう言ったそうです。

日本人はそんなことを言わない。

「月がきれいですね」

くらいにとどめておきなさい。

私はこのエピソードが大好きです。さすが文豪・漱石、言葉の選び方秀逸ですね。遠回しながら相手への深い想いが伝わってくるようです。こんなロマンチックで文学的な告白をされたら、ぐっときてしまいませんか?

夏目漱石, 文豪, 名言, ビジネス, 自己啓発 (写真=PIXTA)

今では、夏目漱石の作品はインターネット上で自由に読むことができるようになりました。青空文庫では、ほかにも多くの文豪の作品を無料公開しています。

漱石の小説には、まだまだたくさんの名言が詰まっています。ぜひ今年は、読んだことのある人もまだの人も、ゆっくりと漱石の“言葉”を堪能してみてください。

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