(写真=Thinkstock/Getty Images)

中国の女性が整形に目覚めたワケ。背景には◯◯重視の文化が

日本との違いって?

「整形の国」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、東アジアの住民なら「韓国」に違いありません。ところが最近、中国で美容整形を行う人が急増しているようです。 中国の業界予測調査によると、同国の美容整形の売上規模は2012年から3年間で2倍以上となり、今後も毎年10~20%の成長を続ける見込みだそうです。

なぜ中韓ではここまで美容整形が流行するのでしょうか。中国在住の筆者はここには、日本とは違った儒教社会の考えが関係していると考えています。

中国の女性が美容整形に目覚めたワケ

中国での美容整形は、韓流文化の一環として中国に上陸しました。21世紀、中国では韓流エンタメが中国を席捲し、化粧品、服飾品、食品、教材・玩具など韓流商品から韓国旅行までブーム化し、多くの中国人女性をとりこにしましたが、美容整形もそうした流れで中国に取り込まれたのです。

中国のネット辞書は「韓流盛行」の要因を6つ挙げています。右側は筆者による解釈です。

1.中国文化の包容力…外国文化を受容してきた歴史と伝統

2.儒家文化の同根性…形式的な秩序とその裏にある弱肉強食

3.韓国文化の吸引力…きらびやかさの与えるインパクト

4.一族の求心性…家族中心のストレートな感情表現。

5.韓国政府の文化政策…計画的タレント育成と巧みな宣伝活動

6.媒体の革新…DVD、ネット配信などメディア技術の進歩

ある中国人女性は3と4に爽快感を感じると言っていました。それはそれとして、ここで重要なのはバックボーンとしての2.儒家文化の同根性です。

背景としての儒教文明

「儒教と負け犬」(酒井順子著)というソウルと上海の結婚事情を取材した面白い本があります。同書では、日中韓とも男性(家)中心の儒教社会である、と一括りにしています。

ただ、これは少し違うと筆者は考えています。日本の儒教は江戸時代に入ってきた武士階級の教養であるのに対し、中韓では儒教の秩序感覚は社会の全てを律しています。

中韓は形式的秩序さえ逸脱しなければ、あとは結果オーライ、法やルールではなく力の支配する世界です。正直誠実である必要はなく、日本武士道流の“名こそ惜しけれ”という精神性はありません。

赤貧ながら一芸を極めた人生は、日本なら尊敬されても中韓では相手にされません。成功とは一族が社会的に上昇し、子孫繁栄することです。そのため常に自分を大きく立派に見せ、人を引き付け、敵を押しのけます。中国人が高級車を好むのはこのためです。

女性にとって「美」は「パワー」

こうした社会に生きる中韓の女性にとって「美」は現実のパワーにただちに位相転換します。中韓の儒教社会は極めて見た目を重視します。女性美は現実世界で最も華やかなビジュアルだからです。

整形2 (写真=Thinkstock/Getty Images)

したがって美容整形は、力を得るためのポジティブでしごくまっとうな行為です。ためらいはありません。整形手術を決意するハードルは本人にとっても家族にとっても低いのです。うしろめたさ、申し訳なさ、といったマイナス感覚を乗り越えるのは、それほど難しくありません。

整形文化の流入は、韓流の終着駅かも知れません。とにかく中国人女性は韓流の後押しにより美容整形に目覚めた、と言ってよいでしょう。

中国の美容整形ってどんな感じ?

こうして中国で広がっている美容整形ですが、実際はどんな感じなのでしょうか。

中国の女性が美容整形を受ける方法は主に下記の3つです。

①韓国へ行って手術を受ける。
②中国へ進出した韓国系医院で手術を受ける。
③中国系医院で手術を受ける。

①に関して言うと、韓国「中央日報」によると、整形手術のため韓国を訪れた中国人は2013年が約1万7000人だったのに対し、2014年は5万6000人に激増したそうです。増加率はなんと4年で20倍とのことで、急増ぶりがよく分かりますね。(※ただし、15年は約20%減少しており、韓国政府が対策を講じているようです)

安すぎる韓国系医院は要注意

②に当たる、「上海芸星(Yestar)」という韓国系美容整形医院が上海駐在時、筆者宅の隣にありました。

懐かしくて公式サイトを覗いてみると2005年設立、芸星グループの中国旗艦店とあります。その後北京、杭州、武漢、長沙、温州へ進出、チェーン化しました。今では医療整形美容国際チェーンのブランドとなっているそうです。

上海店は中層ビルの1F~7Fまで全フロアを占拠しています。開業以来、韓国籍人士20万人、中国籍人士50万人、その他人士(日、米、英など)10万人に施術した、とあります。韓国人が安い料金を求めて大量に訪中していたのです。中韓はうまく補完し合っているようです。

二重瞼2980元(約4万7000円)〜、隆鼻2800元(約4万4000円)〜、痩臉針1280元(約2万円)~、など料金表をトップに掲げています。40歳代の中国人女性に聞いたところ、韓国系なのに安すぎる、という意見でした。確かに間違いなくしつこい追加治療の営業が来そうです。はっきり拒否する自信のない人は、近寄らない方が無難です。

※為替レートは1人民元=15.8円で計算

中国系医院と事故

③の中国系医院では、内容の伴わない施設が増加しています。患者クレームは年2万件を超え、重大事故も多数報告されています。

2013年8月、山東省・青島市で死亡事故が発生しました。20歳の女性が手術中に突然大出血、意識不明となり、半月後に死亡します。施術したのは中韓合弁の「華韓整容医院」でした。

2016年2月にも、広東省・深圳で25歳のモデル女性が亡くなりました。3カ所の手術を同時進行したため麻酔方法を誤ったようです。事故を起こした香港系「天美医療整形医院」は2011年、深圳市南山区から‟医療機構先進単位“の称号を授与されています。

中国の美容整形手術とは、運を天に任す度胸が必要です。普通の日本人女性には、とてもおススメできるものではありません。

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