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新定番の「オトナ女子」、海外女性に使ってもイイですか?

アラサー、アラフォー、アラフ…「女子」って一体いくつまで?

「女子会」「オトナ女子」「女子力」――。日本では「女子」という言葉はあちこちで使われるようになり、すっかり定番となっています。言葉の広がりに伴ってカテゴライズの幅は広がり、「女子=女性」という風潮になりつつあるようです。

その一方で「30代以上を女子と見なすのに違和感を覚える」「強引に若作りしているようで抵抗がある」という声も多数聞かれます。では、女性ならば何歳でも「女子」が通用するのは、海外でも同じなのでしょうか。

英国在住歴24年になる筆者が思うに、答えは完全に「NO」です。

欧米女性に「オトナ女子」、これってNG?

欧米では大人の女性に対し「lady」や「woman」を使うのが一般的。「girl(女子)」が使われることもありますが、「年齢にふさわしくない子供のような振る舞いをする」「大人の女性として扱うに値しない」といった侮蔑の意味合いがこもっているか、ちゃかしている場合がほとんどです。

女性側もよほど親しい間柄でない限り、「girl」と呼ばれたら軽視されたと感じる人が多いようで、例えば、初対面の女性に対して「girl」と呼ぶのは完全にタブーとされています。

女子?GIRL?日本と欧米で異なる定義

この差がどこから生まれているのか探るために、まずは日本と欧米における「女子」の定義を比較してみましょう。

日本で使われている「女子」。漢字が表すように本来は「女の子」だけを意味するのかと思えば、意外なことに三省堂大辞林では

  • ①おんなの子。むすめ
  • ②おんな。女性。婦人

と定義されています。他の辞書でもほぼ同様で、日本では大人の女性を「女子」と呼んでも決して間違いではないのです。

一方欧米ではどうでしょうか。英英辞典サイト「Dictionary.com」で「girl」の意味を見てみると

  • ①成長期を終えるまでのおんなの子
  • ②(特に独身の)若い女性
  • ③むすめ
  • ④くだけた状況で。親しみをこめて。侮蔑にあたる場合もある
  • ⑤彼女。女性の恋人

とされており、「女子」の定義は20代前半ぐらいまでのようです。

また、用法によっては「女性従業員。女性労働者。(特に若い女の)お手伝い」の意味となり、やはり敬う対象としての大人の女性を表す言葉ではないことは明らかですね。

オトナ女子, 海外, 日本人女性, 女子力, 女子会, (写真=Thinkstock/GettyImages)

「女子力」と「女性力」、漢字一字で大きな違い

1990年代に、当時大人気だったイギリスの女性グループ、スパイス・ガールズが「ガールパワー(Girl Power)」という流行語を生み出しました。今で言う「女子力」と捉えることができますが、この言葉はあくまで10代~20代前半女性の弾けるような若さを指していました。

これが大人の女性を対象とした場合、「Women‘s Power(女性力)」が使われます。何らかの権力や影響力を持った「精神力の強い大人の女性」を指し、メディアで軽々しく「女子力アップ」などといった特集が組まれることはありません。

つまり、「女子力」が若さ特有の肉体的なエネルギーと捉えられているのに対して、「女性力」とは、大人の女性がさまざまな経験を通して培ってきた精神的な成熟や力強さを表しているのです。

独立心旺盛な欧米女性を「女子」と呼べない環境

定義はどうであれ、最も顕著な差が見られるのは女性側の受け止め方でしょう。日本女性には、「女子」として扱われて憤慨する欧米女性の気持ちが、いまひとつピンとこないかもしれません。

そもそも欧米では、「自立」を目指した子育てが主流です。性別や環境に左右されることなく、適切な時期が来たら親の庇護下から巣立ち、独立して生活していくことができる「大人」に育てたい――と多くの親が願っています。

そうした環境下で育った子供は当然ながら自立心も旺盛で、そのうえ、女性の社会進出も定着しています。自立した女性を「女子」と呼ぶにはふさわしくない環境と、一人前の大人として認められることを望む女性自身。この2つの要素が組み合わさったことで、「(オトナ)女子」がタブーとなる背景が生み出されたのではないでしょうか。

見た目の若さより歳相応の美しさを

最後にもうひとつ。日本で「女子」という言葉が年配層にも受け入れられている理由として、日本人の「年齢へのこだわり」が大きいように感じます。

「いつまでも若々しくありたい」という意識は、女性にとって世界共通のもの。しかし、日本においての「若々しさ」とは「年齢的な若さ」と捉えられがちです。

それに対して、欧米では「若々しくあるために、無理をして若く見せる必要はない」という思考が定着しています。「若さ」と「若々しさ」には大きな違いがあることを、多くの女性が自覚しているのです。

「年齢に見合わない女の子っぽさ」ではなく、「年相応の女性らしい魅力」を備えるために日々努力する。そんな文化的背景が、「女子」と「女性」の間にハッキリした境界線を引いたのかもしれませんね。

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