
(写真=Thinkstock/Getty Images)
不動産投資詐欺「あるある」な手口と攻略法。誘い文句はコレだった!
詐欺被害にあわないよう実例を学ぼう
こんにちは、梅雨に入りましたね。大家としては、まず所有物件の屋根やら外壁のコンディションが気になるところ。
筆者もご多分に漏れず修繕に追われています。不動産というのは概してマメなメンテナンスが欠かせないものですが、昨今、そうした現実を意図的に伏せて、投資の「うまみ」だけを伝える業者が急増しています。
つまり……
そう、詐欺が増えているのです。
特に2020年にオリンピック開催が決まって以降、その傾向が顕著になっています。
地価の高騰に伴い、素人でも「何か投資を始めてみようかな?」と考える方が増え始めている明るい機運の影で、その純粋な向上心に付け込み、「お目が高い!今買っておけば2020年には『間違いなく』値上がりしてますよ!」など、もっともらしいことを言って近づいてくる詐欺師も増殖しているのですね。
こうした詐欺は、新国立競技場の建設問題が落ちつくにつれ下火になってきましたが、最近では、
「マイナス金利が導入されたことによってローンの金利が格安になった」 「円高に伴ってアジア不動産がお買い得」
などなど、幾らでも時流に則った不動産投資が存在し、またそれを利用した「説得力のある」詐欺が増え続けているのです。
そこで今回は、
・不動産投資詐欺の「あるある」な誘い文句9選 ・詐欺業者の誘い文句に共通する3つの特徴 ・不動産投資詐欺によくある3つの事例(デート商法/海外不動産/グレーゾーン) ・詐欺業者のチェックポイント ・不動産投資詐欺に引っかからないための2つの心得 ・不動産投資詐欺被害に遭った際の相談先 ・最後にアドバイス
といった内容をお届けします。
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不動産投資詐欺の「あるある」な誘い文句9選
不動産投資被害の最も恐ろしい特徴としては、なんといってもその被害額の大きさです。通常の不動産価格よりも遥かに高値で購入させられてしまう、例えば数千万~億を下らないケースも多々あります。その他の傾向としては、
・20%~30%などのやたらと高利回りばかりを謳われる(大都市のマンションでそんなことはまず滅多にありません。都内なら実質2~3%がほとんどです)
・実際には付いていないのに家賃保証があると告げられる。あるいは、付いていたとしても満額が保証されるのは最初の数年のみで、徐々に切り下げられていく。最悪、なくなる。
・積立修繕費や管理費など、マンションを運営していく上で欠かせない支出の存在について隠される。あるいは、積立修繕費や管理費が一般的に年月と共に「増えていく」ものだということについての説明を割愛される。
・マンション投資でローンを組むと、自分が居住するための住宅ローンを組む際の審査に影響する旨を割愛され、あとあと泣きを見る。
・虚偽の広告に釣られてしまう。悪徳業者は条件の良い物件を幾つも宣伝しており、問い合わせをすると「全て」契約済みと告げられる。そうして「他にも良い物件が……」と話を切り出される。
・強引でしつこい。一度断ってもすぐに「もっと良い物件が見つかった」「絶対に儲かる」など何度でも営業してくる。酷いときは高圧・脅迫的な態度で、暴力行為を伴う。
・女性投資家が増えつつある近年において、デート商法が増え、心身ともに被害を受ける方が後を絶たない。
・手付金などの振込み・支払いを急かされるなど、とにかく即日契約を勧められる。
・クーリングオフや解約に応じない。場合によってはあらゆる手段で妨害される。
……書いているだけで悲しくなってきました。
詐欺業者の誘い文句に共通する3つの特徴
おおむね前記の通りですが、詐欺業者の要素を集約するならば、
- うまい話過ぎる
- 重要な説明を意図的に避ける
- 強引
この3点でしょうか。こうしてまとめてみると実にシンプルで、「私なら引っ掛からないわ」と言いたくなっても不思議ではないところです。
しかしながら恐ろしいのは、国民生活センターの統計では「強引・脅迫」に関する相談が全体の84%を占めているということ。つまり、うっすら詐欺に気づいたとしても、それが詐欺だと確信に至る前に、冷静な判断力を奪われてしまう可能性が高いということですね。
以上を踏まえた上で、改めて先述の3要素を見てみます。
うまい話過ぎる
うまい話かどうか判断できる「基準」をあなたは持っていますか?
重要な説明を意図的に避ける
「重要な説明」が何かあなたは分かりますか?
強引
速攻で畳み掛けてくる相手を、押し返すだけの「胆力」があなたにはありますか?
意外と自分が当事者になってみると、タジタジになってしまうものです。また、デメリットの説明をしない業者がアウトであることは実際なのですが、悪魔は悪魔の顔をしていないからこそ恐ろしいのであって、詐欺師の常として、そう簡単に素人に看過できる嘘はついてくれません。
例えば、この記事で後述するオリンピックドーム建設予定地の詐欺など、一つの詐欺に登場人物が4人もいるケースもあります。お金を巻き上げるまでの段取りとしても、「社債」の発行から、購入後に別事業者から電話、警察から電話、弁護士の登場と、実に四段構えでシナリオを用意していることが分かります。
不動産投資詐欺によくある3つの事例
事例① 女性で急増している「デート商法」
同様に、女性被害が急増しているのがデート商法です。いわゆる婚活サイトで知り合った男性から投資用マンションの購入を提案されるというパターンですね。それも、すっかり仲良くなった頃合を見計らって、いかにも自分たちの将来のためという体を装い、「結婚したら節税になるよ」、「年金の代わりにしようよ」などと話を持ちかけてくるのがいやらしいところ。
狙われるのは、
- 大手企業に長年勤務している方
- 公務員や医療従事者の方
です。いずれも「ローンの審査が通りやすい」という一点で共通しています。
事例②「海外不動産」の詐欺被害が急増中
また最近は、円高が顕著になってきている時流から、海外不動産投資詐欺の被害が急増しています。つい2年ほど前にも架空のカンボジア不動産を販売しようとして、FIRST不動産会社の経営陣13名が逮捕されたこともありました。
こうした物理的距離や言葉の壁を利用した詐欺は、グローバルになった現在ならではの犯罪ですから、まだまだ狡猾になる余地がありますし、より慎重にならなければならないと筆者は感じています。
事例③法的にグレーもしくは白いゾーンを攻めてくる
とはいえ、こうした露骨な詐欺、犯罪ならば、まだしも避けようがあるものです。 最も厄介なのは、法的にグレーだったり、ともすれば真っ白なゾーンを攻めてくる場合。
例えば、
・「ほぼ満室」という謳い文句でマンションを購入したはいいが、蓋を開けてみると入居者の8割が悪徳業者の社員で、購入後は「ほぼ空室」になってしまった。
・「満室」という謳い文句でマンションを購入したはいいが、実は近くにあった有名大学のキャンパスが閉鎖することが決定しており、3月になったとたんガラ空きになってしまった。
・全20室のマンションに内見を申し込んだら、2部屋を案内してくれた。とてもきれいだったから安心して契約したら、残りの18室はボロボロだった。
などなど……。前述の3項は、大家として私が実際に耳にした事例です。「そんなのどうしようもなくないか!?」と聞いたとき背筋が寒くなったものでした。
詐欺業者のチェックポイント
ではどうやって自衛していけばいいのか。
一つの分かりやすい指標としては、登録番号の確認です。不動産会社ならば必ず、宅地建物取引業者の登録をしています。
この免許は、店内の見える場所に掲示されるのが通例ですから、もしも見当たらなければ悪徳業者である可能性を疑ってみたほうがよいでしょう。また、掲示されていても交付年月日が古い場合、更新の審査に落ちている可能性があります。
それ以外にも、主にデメリットについて、気になったらなんでも質問してみましょう。その質問への返答如何で、担当者の誠実・不誠実も見えてくるものです。
【こちらの記事もおすすめ】 ・もう騙されない。「優雅な投資家」流、不動産業者の見極め方
不動産投資詐欺に引っかからないための2つの心得
これまでのことを踏まえ、マンション投資詐欺に引っかからないために気を付けたいことは下記2つです。
①連絡先をチェックしよう
これは不動産会社に限らずですが、住所や電話番号などの連絡先が明記されているか、電話番号は固定電話か(携帯番号やフリーダイヤルは簡単に変更が利くものです)、アドレスは独自ドメインか、ちょっとしたポイントですが、確認すれば避けられる被害もあります。どんなときも、代表者と担当者の名前はしっかりと控えておきましょう。
②大家さんと「つて」を作っておこう
可能であれば事前に大家さんのセミナーや懇親会などに参加し、つてを作っておくことをオススメします。特に女性大家さんはブログを執筆されていたり、Facebookのアカウントを持っていたりすることも多いですから、実は思っているよりもネットワークは築きやすいもの。
私がよく利用するのは「楽待」と「建美屋」です。 これらのサイトには、面白い大家さんが大勢登録し、ありとあらゆる視点から投資記事を執筆されていますから、きっと「行ってみたい!」と感じるセミナーが見つかるはずです。
ちなみに、ボロ戸建投資でよろしければ、かくいう私も秋葉原の片隅でひっそりとご相談を承っております。
【こちらの記事もおすすめ】 ・第3話 マニアック物件の不動産投資。情報を得た2つの方法
不動産投資詐欺被害に遭った際の相談先
それでももし詐欺被害にあってしまったら、国土交通省は「免許行政庁」に相談することを推奨しています。
特にこちらのページでは、マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等についても注意喚起されており、非常に分かりやすい内容となっていますから、ぜひご一読されたし。
その他、私個人は弁護士さんに助けて頂いた経験があり、実体験として法律事務所に相談したことは正解だったと感じています。
自分の知識も増えますし、また不動産投資詐欺をはたらくような輩はそもそもまっとうな会話が成立しないので、法的な観点からのみ粛々と話を詰めていくというのは、あるいは唯一、有効な手段かもしれません。
ただ、これがまた難儀なことに、最近はNPO法人を騙った団体が、「マンション投資にご用心を!」などと書いたDMを配布しており、しかもその内容というのが被害相談受付やら弁護士の紹介だったりするものですから、油断も隙もあったものではありません。
不動産投資詐欺にひっかからないために
東京オリンピック開催が決定した直後の2014年頃、「オリンピックドーム建設予定地の用地買収に伴う社債」(と称した詐欺商品)が一口10万円で発行されていました。
もしこれを購入してしまうと、後日「別の事業者」から電話が掛かってきて、社債を譲って欲しいと持ちかけられます。言うとおりにすると、今度は「警察」から電話があり、何事かと目を白黒させているうちに「警察」は「弁護士」にかわり、「弁護士」はさも物々しく、発行された社債が詐欺商品であったことを告げ、「詐欺商品を他人に譲った時点であなたも同罪です。3000万円の1割に相当する300万円を直ちに振り込まないと、財産を強制的に差し押さえられてしまいますよ」などと言い出す始末……。
何を信じていいのか分からなくなる世の中ですが、一つ確かなのは、勉強をすることで確実にリスクは軽減できるということ。
前述の通り、不動産投資の世界においては、有名な本の著者であってもセミナーなどで簡単に繋がれるという下地が出来上がっていますから、これを生かさない手はありません。どうかご検討くださいませ。
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