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自分でできる!生命保険料控除額計算の手順と方法。上手に使うコツとは?

今年は自分で申告してみよう。

「生命保険料控除」ちゃんと受けていますか?

毎年10月頃に生命保険会社や共済などから送られてくる「生命保険料控除証明書」。

生命保険の勧誘か新商品の案内だと勘違いして、ごみ箱にポイなんてことはありませんか?

大した金額の保険に入ってないからと、年末調整で保険料控除申告書に何も記入せずに、名前だけ書いて提出したりしていませんか? それはあまりにももったいない!

今回は、保険料控除が簡単に受けられるように、受けるメリットも含めて詳しく説明します。

生命保険料控除制度とは?

税金を納める本人が、生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料を払っている場合、1月1日から12月31日までの1年間に支払ったその額に応じて、一定の金額を所得から差し引けるというものです。

保険料控除 (写真=Thinkstock/GettyImages)

対象となるのは、保険金の受取人が、契約者本人、配偶者、その他の親族(6親等以内の血族および3親等以内の姻族)となっている契約です。

「難しい?」…安心してください!

さて、ここまでの説明聞いて難しいなって思った人、ご安心ください。保険料控除証明書が来たら、契約内容を知っている保険会社から、保険料控除ができるというお墨付きがあったということなので、控除が受けることができると考えて間違いありません。

控除を受けると課税所得が減るので、納める税金も安くなります。税金は、所得税だけでなく、住民税も安くなります。証明書がきたら必ず控除を受ける手続きを忘れないようにしましょう。

意外と知らない保険料控除の歴史

ちなみに、この控除制度が始まったのは、1923年(大正12年)関東大震災の年です。当初は生命保険料だけが対象でした。

その5年前にスペイン風邪の流行などもあり、生命保険の重要性が認識され、加入促進のために創設されました。その後も加入促進の施策として、個人年金保険料、介護医療保険料も対象となっていったのです。

生命保険料控除の種類は?

生命保険料控除の種類は3つあります。

  • 一般の生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

それぞれ、控除限度額が決まっており、3つの控除額合計は最大、所得税計算から12万円、住民税計算からは7万円となっています。

生命保険料控除の新制度と旧制度

前述したように、2012年1月1日から介護医療保険料控除が新設されたため、

  • 2012年1月1日以降に加入または更新契約したものは新制度=新保険料
  • 2011年12月31日以前に加入または更新契約したものは旧制度=旧保険料

に分けられます。

新制度か旧制度かで控除額の計算式と限度額が変わることになりました。詳しくは生命保険文化センターホームページをご参考ください。

自分が契約している保険が新制度なのか旧制度なのか、または期間按分されるのかは生命保険料控除証明書に記載されているので心配はありません。

生命保険料控除額計算の手順と方法

 実際の申告書への記入については、次の手順で行ってください。

一般の生命保険料について

  1. 生命保険料控除証明書の全てを手元に揃える
  2. 旧保険料のみで、支払額の多い順に並べる
  3. ②の順番に合計保険料が10万円を超えるまで、保険内容を記入する
  4. 旧保険料のみで10万円を超過しない場合は、新保険料の支払額の多い順に並べる
  5. 新保険料が8万円を超えるまで同様に記入する

介護医療保険料について

  1. 介護医療保険料控除証明書の全てを手元に揃える
  2. 年間保険料支払額の多い順に並べる
  3. 年間保険料支払額が8万円を超えるまで、保険内容を記入する

個人年金保険料について

  1. 個人年金保険料控除証明書の全てを手元に揃える
  2. 旧保険料のみで、支払額の多い順に並べる
  3. ②の順番に合計保険料が10万円を超えるまで、保険内容を記入する
  4. 旧保険料のみで10万円を超過しない場合は、新保険料の支払額の多い順に並べる
  5. 新保険料が8万円を超えるまで同様に記入する

申告書に記入するときの注意点

保険内容の記入ができたら、あとは申告書に記載された通りの計算式で計算して控除額を求めることになります。

記入の際の注意点は以下の通りです。

  • 新制度と旧制度を間違えないこと
  • 保険料が月払いの場合は、年間支払保険料は「支払見込額」欄の額を記入する(証明書に記載されているのは、証明書発行時点で実際に払われた額なので、12月までの残り期間分を含んだ額は、見込額として記載されていることが多いため)
  • 個人年金保険契約においては、契約内容によっては「一般の生命保険料」に区分される場合があるので、証明書をしっかり確認する

この方法で進めていけば、少しも難しい作業ではありません。今まで会社が記入してくれるだろうと、証明書だけ添付して白紙で提出していた人は、今年はぜひ自分で控除額の計算まで完成させてみてください。

保険料控除 (写真=Thinkstock/GettyImages)

保険料控除を受けることでいくら税金が安くなるの?

保険料控除を受けるとどれくらい得をするのか、実際に試算してみましょう。

所得が300万円の人が、生命保険料控除額8万円を受けることができる場合、控除前の所得税は20万2500円となります。

【計算式】 300万円×10%-9万7500円=20万2500円

一方、生命保険料控除8万円を受けると、所得税は19万4500円となり、8000円ほどお得になります。

【計算式】 (300万円-8万円)×10%-9万7500円=19万4500円

住民税も控除の限度額が5万円とすると、一般的な税率は約10%なので、差額5000円。所得税で得をした8000円を合わせると、合計1万3000円ほど安くなります。

所得が多い人はもっとお得に!

日本の所得税は「超過累進課税制度」なので、所得が多いほど、控除できる所得税額は大きくなります。

保険料控除 (写真=Thinkstock/GettyImages)

たとえば上記の例で700万円の所得の人なら23%の所得税率となり、住民税と合わせて約2万2500円も安くなります。

ゆうちょ銀行1年定額貯金の金利が0.01%の今、実質2万円の利息を得ようとしたら元金が2億円以上必要になります。驚きですよね。少しの手間を惜しんで控除を受けないなんて、あまりにももったいないことが理解していただけるでしょう

生命保険料控除を受ける為に必要な物は

生命保険料控除を受けるために必要な物は、最初にお話しした「生命保険料控除証明書」です。

旧保険料の場合は1契約年間支払保険料9000円までの場合は添付不要ですが、それ以外の契約については金額に関わらず添付が必要です。付いていないと控除は受けられません。

保険料控除 (写真=Thinkstock/GettyImages)

もし紛失してしまったら、早めに保険会社などに問い合わせて再発行してもらいましょう。ほとんどの会社は手数料はいりませんが一部必要なところもあります。何より再発行には時間がかかってしまうため、会社の年末調整に間に合わず再調整してもらったり、自分で確定申告したりと、かなりの迷惑や手間がかかってしまいます。

毎年10月から契約者住所に届き始めるので、必ず一定の場所に保管するよう家族で徹底しておいてください。

ハガキタイプで見開きになったものが多く、見開きで1枚の完成した証明書となっているので、ハガキが雨で濡れていたらちゃんと乾いてからめくること、また、めくったあと真ん中で切り取ってしまわないことに気を付けてください。

生命保険料控除を上手に使うコツと注意点

この控除が使えるのは、「実際に保険料を払った人」であって、保険契約者でないといけないわけではありません。また、先ほど説明したように旧保険料、新保険料ごとに控除限度額が決まっています。

例えば、夫婦共働き家庭において、夫が契約者で新保険料8万円の契約と、同じく新保険料5万円の契約があったとしましょう。このとき、控除を受けられる限度額は8万円なので、5万円の契約については対象になりません。

しかし、家計は夫婦双方の収入でまかなっていて、実際に保険料を支払っているのは、妻の収入から、と言える場合は残りの5万円分については妻が申告することが可能です。妻が控除限度額まで達していなければ、妻の所得税と住民税を安くすることができるのです。

保険料控除 (写真=Thinkstock/GettyImages)

ただしこの場合は注意が必要です。生命保険料控除のことだけを考えると確かにそうなのですが、これは入口部分の税金であって、生命保険の大きな目的である「死亡保険金」の受取時にかかる税金、いわゆる出口部分の税金のことも考える必要があります。

保険料支払者と保険金受取人の関係によって、「相続税」、「贈与税」または「所得税」の対象となり、その違いによって、税額は全く異なってきます。「木を見て森を見ず」とならないように十分に注意しましょう。

「一時払い」と「全期前納払い」は注意

もうひとつの注意点が、「一時払い」と「全期前納払い」です。両方とも、「加入時に全期間の保険料を一括で払う」という点は同じなのですが、保険料控除においては大きな違いがあります。

「一時払い」は、最初に全ての期間分の保険料を払ってしまうので、保険料控除証明書は払った年一度だけ、払った全額が対象となった証明書が来て終了です。

「全期前納払い」は、保険期間中最初に払った保険料を、1年(またはひと月)毎に割り戻していくので、証明書が毎年来て、期間年数分控除を受けることができます。

保険料控除だけを考えると「全期前納払」の方がいいのですが、支払保険料はもちろん、保険金受取時や解約時に大きく違う点があるので、これも注意が必要です。

小さなお金の意識が大切

契約時にはあれこれ悩んで加入した保険です。保険料控除申告書を自分で書いて控除額の計算も自分でする。健全な家計を構築するためには、そんな小さなお金への意識がとても大切なことです。

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