
(写真=PIXTA)
「個人年金保険」とは? 老後資金の準備におススメなワケ
老後に向けて漠然と不安を抱えている方、必見です!
20代の頃、いつかは結婚して子どもを生んで、老後は旦那さんとのんびりしたいとぼんやり考えていたら、気がつけば、いつの間にか30代。最近、「もしかしたらずっとおひとりさまかも……」と漠然とした将来への不安を抱えた30代女性のご相談が増えています。
老後のための準備はまだまだ早いと思っていると、気がついたときには手遅れになりかねません。そこで、コツコツできる老後準備のひとつ「個人年金保険」についてご紹介します。
【目次】
- 個人年金保険とは?
- 個人年金保険は金融商品の一種
- こんな人にこそ、個人年金保険がおススメ
- 個人年金保険の受け取り方 1.終身年金 2.確定年金 3.有期年金
- 個人年金保険に加入するメリット 1.普通預金よりも増える 2.老後という目的のために確実に貯められる 3.生命保険料控除で税金の還付を受けられる
- 個人年金保険のデメリット
- 個人年金保険の2016年トレンド
個人年金保険とは?
ゆとりある老後を送るために必要な生活費は月36万円と言われています。しかし、実際に受け取ることのできる年金は、平均的なサラリーマンと専業主婦のカップルで22万円。月々の不足額14万円を65〜90歳までの25年間補うには4200万円が必要です。
もちろん、どのような生活を望むのかによって必要な生活費は異なりますし、現役時代どれくらいの収入で何年厚生年金をかけてきたか、退職金などの老後使える資金がどれくらい用意できるかによって、老後のために準備する資金額は一人ひとり異なります。
その老後の生活資金を準備するために生命保険会社が販売している金融商品が「個人年金保険」です。加入時に決めた払込期間まで保険料を支払い、受取指定した年齢から一定期間または一生涯年金を受け取るという仕組みの保険です。
個人年金保険は金融商品の一種
「保険」という名称がついていますが、個人年金保険は保険会社が販売している金融商品の一種。支払った保険料が保険会社に預けるお金になり、死亡時には支払った保険料が保険金受取人に死亡保険金として支払われます。
それゆえ、一般的な生命保険に加入するときに必要な病気などの告知は不要。職業の告知のみで加入できます。
こんな人にこそ、個人年金保険がおススメ
将来へ漠然とした不安があるけれど、何から準備してよいかわからない人には「個人年金保険」がおすすめ。なんとなく貯金していても利息はほとんどつきませんが、個人年金保険なら貯金よりも有利に増やすことができます。
また、個人年金保険を口座引落しやクレジットカード払いにすることで、自動的に毎月積み立てることができます。一度加入手続きをするれば、積み立てようと意識しなくても「気がついたときには貯まっていた」という仕組みづくりをすることができるのもポイントです。
個人年金保険の受け取り方
「毎年」受け取ることができる「お金」なので「年金」といいますが、この「年金」形式での受け取り方には3種類あります。
①終身年金
生きている限り死ぬまで一生年金を受け取ることができるタイプの年金です。一生受け取ることができると安心ですが、死亡するとそれ以降、年金は給付されません。早くに亡くなってしまった場合、支払った積立保険料よりも受け取った年金額の方が少なくなってしまうこともあります。しかし、長生きした場合は、支払った積立保険料よりも多く受け取ることができるので保険料は高めです。
②確定年金
決められた期間は確実に支払われるタイプの年金です。一般的には5年・10年・15年で定められていることが多いです。この確定期間中に本人が亡くなっても、この期間分の年金は必ず保険金受取人に支払われることになります。確実に約束された期間分の年金は本人または遺族に支払われるので、途中解約しなければ掛け捨てにはなりません。
③有期年金
確定年金と同じイメージで決められた期間分年金給付するというものですが、確定年金と異なり、本人が亡くなってしまうとそれ以降は年金が支給されません。そのため、②よりも保険料は安い傾向にあります。
個人年金保険に加入するメリット
ここからは、個人年金保険に加入すると得られるメリットについてご紹介します。
①普通預金よりも増える
銀行の普通預金金利は0.001%なので、ほとんど利息がつきません。老後用として普通預金に積み立ておくのであれば、個人年金保険に加入したほうが有利といえます。
例えば、30歳女性で某保険会社の個人年金保険(月々の積立額は7731円)に加入すると、総払込額が278万3160円。年金は30万円を10年間受け取ることができるので、総受取額は300万円。返戻率は107.8%になり増える実額は21万6840円です。一方、普通預金に預けていても278万3573円になるだけで、30年でつく利息はわずか413円。ただ銀行に貯めていくよりもメリットがあるといえるでしょう。
②老後という目的のために確実に貯められる
老後のために銀行で預金をしていても、いつでも自由に引き出せるため旅行や家電製品の買い替え、教育費など、突発的な出費があると使ってしまう可能性があります。しかし、個人年金保険は、途中で解約すると元本割れするリスクがあるため、継続しなければならないという意識が働きます。コツコツと預金するのが苦手な人には向いている商品といえます。
③生命保険料控除で税金の還付を受けられる
生命保険料控除には、一般生命保険料、個人年金保険料、医療・介護保険料の3つの枠があります。一定の条件のもと個人年金保険で老後資金を貯めると、別枠で個人年金保険料控除の枠を使うことができるのです。
課税所得(年収から基礎控除や社会保険料控除などを引いた所得)が400万円で年間10万円の終身保険に加入すると、所得から控除してもらえる額が4万円となります。この金額に税率20%をかけた8000円の所得税が戻ってきます。年間20万円積み立てて2つの枠の合計1万6000円キャッシュバックがあるので、「金利8%の金融商品」と考えることもできるのです。
個人年金保険のデメリット
個人年金保険は強制的に老後資金を用意することができるというメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。
①途中解約をすると元本割れするリスクがある。 ②金利が安い時に加入すると将来のインフレリスクに対応しきれず、実質的な資産価値は減ってしまう可能性もある。 ③保険会社が破綻した場合、将来の年金額を減らされる可能性もある。
メリットもある個人年金保険ですが、デメリットも理解したうえで加入していきたいものです。
個人年金保険の2016年トレンド
金利の低い今、円建ての個人年金保険は、市場金利の低下により利率の良い商品が販売停止になっている傾向にあります。
しかし、利率だけで保険会社を選ぶのはリスクもあります。無理してよい利率の商品を販売し続けると、経営が悪化し保険会社の収支を圧迫しかねません。販売停止にするということは、保険会社がそこまでの運用は難しいという英断でもあるからです。
また、円の利率が低い中、アメリカやオーストラリアなどの通貨で運用する個人年金保険は円建て商品より利率がよく、利率変動のものもあります。金利の低い現状の利率で固定するのではなく、最低保証のある変動金利の外貨建て年金もあります。
自分のニーズやリスク許容度に合わせて、老後資金をコツコツ貯めていきましょう。将来の自分を守るのは「今の自分」なのですから。