(写真=Thinkstock/Getty Images)

30代女性が親から不動産を上手に引き継ぐための3つの心得

「売ればいい」という考えでは分かり合えないかも?

「うちは自宅のほかにも土地があって、駐車場やアパート経営をしていたっけ。でも実際、利益がどれくらい出ているのかは全然知らなないな〜」

DAILY ANDS読者の皆さんの中には、そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その不動産、ご両親が亡くなった場合は、あなたが引き継ぐことになるかもしれません。しかし、不動産は金融資産のように、「名義さえ変更すればとりあえずはなんとかなる」という資産ではありません。

不動産鑑定士・税理士事務所営業職を経て、現在はファイナンシャル・プランナー(FP)として執筆を行う筆者が、上手に資産を引き継ぐために大切な心得をご紹介します。

心得①両親の不動産に対する「想い」を知る

不動産を所有するに至った経緯やそれに対する想いは、人によって実に様々です。

先代から引継いだ土地をその時の使い方のまま守っている、周りの都市化に合わせて様々な使い方を模索している、投資としてコツコツご自身で不動産を購入してきた‥…などなど。まずはどんな心構えで不動産と向き合っているのか、ご両親の想いを知り、共有することが大切です。

この時気を付けたいのが、いきなり資産状況を聞きださないこと。もちろん普段の親子関係によりますが、急に「不動産はどれくらいあるの?収入はどれくらい?」と聞いてもなかなか心を開いてはくれません。

所得税の節税セミナーや、不動産を上手に活用するための相談会など、「現状を良くするため」のセミナーなどに一緒に参加してみるのもひとつ。間違っても、「相続税対策のためにセミナーに行こう!」などと言ってはいけません。「お前は親を早く死なせたいのか!」といわれてしまいます。

心得②税理士によって金額が変わる相続税

相続税の申告では、ある税理士は「相続税の支払う額は500万円です」と言っていたのに、他の税理士にも相談してみたら「100万円ですね」ということがよくあります。なぜでしょう。

理由①相続税独特の不動産評価方法が非常にわかりづらい

相続税には、独特な不動産の価格算出方法があり、その内容は税理士でも頭を悩ませる複雑なものが多くあります。そのため、担当した税理士の解釈の仕方によって、値段に違いが出てきてしまうのです。

理由②一度も相続税の申告をしたことがない税理士もたくさんいる

相続税は、亡くなった方の財産にかかる税金です。一定以上の資産が無いと申告は不要なので、毎日発生するような税金ではありません。

2014年にあった相続税申告件数約5万6000件に対し、税理士登録者数は約7万3000人。

数字を見て分かる通り、1年間に一度も相続税申告を行わない税理士もたくさんいます。それどころか、税理士になってこの方、一度も相続税の申告をしたことがない、という税理士もいるほどです。

上記を踏まえて覚えておいてほしいことは、「普段の不動産収入の申告をしてくれている税理士」が、必ずしも「相続税に強い税理士」ではない、ということです。   風邪の時に診てもらう内科の先生と、大きな手術をお願いする先生は当然違いますよね。税理士もそのように上手にお付き合いをしなければならないのです。

心得③「売ってしまえば?」という考えを安易に提示しない

「維持していくのは大変だし、いっそ売ってしまえば?」。そう考える方も少なくないでしょう。

しかしそれをそのまま言葉にしてしまうと、人によっては話合いにすらならない可能性があります。なぜなら、不動産は「先祖代々守り続けているもの、後世に引き継いでいかなければならないもの」という考え方を持つ方もいるからです。

不動産, 相続, 揉めないコツ (写真=Thinkstock/GettyImages)

所有している土地には先代たちの想いがそのまま宿っていて、「いかに売らずに引き継げるか」が最大の任務だと感じていらっしゃる方も少なくありません。最初から「売る」という選択肢を安易に提示することは安直すぎるかも。

現状・将来・税金等を「みんなで」考える。ただし配偶者は別

上記①~③を踏まえて、大切なことは2つです。一つは、個々ではなく相続人「みんな」で話し合うこと。

可能であれば、お正月やお盆など、家族が集まる場面で定期的に話す機会を設けるのがベストです。目先の利益ではなく、ご両親の生活をより良くするためにどうするべきか、無駄な税金を払わないためにどうするべきかを討論していけば、たとえご両親が最初は資産の開示に否定的だったとしても、自ずと心を開いてくれるでしょう。

そしてもう一つの注意点は、この話合いに「子供たちの配偶者」は参加させないことです。「配偶者の余計なひと言」によって、相続がこじれていくのも非常に良くあること。話合いは、直接相続権のある家族だけで話合いましょう。

両親が元気なうちに話し合うのが円満のコツ

「資産を引き継ぐ」ということは、非常にデリケートな問題です。親の持っている不動産のことを何も知らずに相続になると、兄弟と資産の分け方で揉めたり、高い税金を払うために泣く泣く不動産を売らなければならなかったり……そんな悲しい事態になりかねません。

今回「30代女性の心得」としたのは、ご両親もまだまだ元気なうちから、家族で資産への考え方・想いを共有していくことが、円満で損をしない秘訣だからです。上記のことを踏まえて、家族の将来を考えてみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に