(写真=PIXTA)

あの日本文化を批判?英メディアが報じる日本女性の痩せすぎ

海外から見た日本の意外な姿。

ロンドン留学から東京に帰ってきたある日本の男性は、

「東京の女性がみんな、あまりにも痩せているので、食糧危機でも起こっているのかと思った」

と言っていました。もちろん冗談に違いありませんが、海外から戻ると、このように日本と海外とのギャップに純粋に驚いてしまうことがあります。

イギリスの公共放送BBCは、日本女性の摂食障害についてニュースで取り上げ、ホームページやポッドキャストなどでも繰り返し報道しました(2016年4月26日他)。

日本の、特に東京の女性が痩せすぎているということについては、おそらくこれまでも話題になっているのに、なぜ今、海外メディアは敢えてそれを取り上げるのでしょうか。そして、海外メディアは日本のどのようなところを問題視しているのでしょうか。

イギリスが日本女性の痩せすぎを心配?

BBCの報道を見ていると、「日本女性の痩せすぎ」よりも、痩せすぎから起こる深刻な問題に日本の社会が無関心であることを問題視しているのだと感じます。無関心のあまり、「政府や医療現場も、全く事態を把握できていない」とさえ言えます。

日本で摂食障害の医学的治療を受ける人は、年間1万人ほどだということなのですが、それは摂食障害の患者の中では氷山の一角に過ぎず、その背後に、「沈黙したまま苦しんでいる患者が何十万人もいる」というのです。

そして、そんな、誰にも打ち明けられずに苦しんでいる女性たちを救う手立てが、ほとんどないこと。これをBBC が問題視したのでした。

イギリスの高級紙でも報道される

同じくイギリスの高級紙ガーディアン(Guardian)でも、この問題が報道されていました(2016年5月17日付theguardianオンライン版)。

記事では、「東京には、1300万人もの隣人がいるのに、過食症(摂食障害の一種)は、誰にも理解してもらえず、誰にも助けてもらえない」とあり、女性たちの切実な声をピックアップしています(Many suffer but no one talks about it: the rise of eating disorders in Japan)。

摂食障害の何が問題?

摂食障害は、食べても食べても吐いてしまうこと、というのが従来のイメージですが、それがどうしてこれほどまでに問題視されるのでしょうか。

BBCの記事によると、摂食障害の特徴は、深刻な精神疾患であること、治療可能で、完治することもあること、男女共年齢や文化的バックグラウンドに関わりなく罹ること。そして、若い女性が最も摂食障害に罹るリスクが高いこと、だそうです。

表面的には分かりづらい精神疾患でもあるので、患者が病院を訪れた時には、すでに手遅れの状態であったり、命にも関わる状態で運ばれてきたりすることもあるそうです。実際、10代の頃から症状が出て、40代になっても苦しんでいる人が大勢いるのです。

摂食障害と痩せすぎとの関係

記事によると「摂食障害の原因は分かっていない」ものの、「『痩せていることが、美しいこと』という日本的な理想論が、まかり通っている」し、「痩せるという理想が、かなり行き過ぎているのではないか」と指摘しています。

日本人, 痩せすぎ, 理由 (写真=PIXTA)

先のガーディアン紙でも「痩せることへの計り知れないプレッシャーと、精神疾患へのサポートの欠如が、苦しんでいる人々を放置している」と、日本の問題点を指摘しています。

確かに、日本の女性なら誰でも、知らず識らず、「痩せなければ」という強いプレッシャーを自分自身に課しているでしょう。そんな強いプレッシャーが、摂食障害と関連性があるという懸念が持たれているのです。

「もったいない」文化が摂食障害と関連?

先のガーディアン紙のインタビューの中で、女性がこんなことを言っていました。

「母親は、食べ物を捨てられない人なんです。冷凍庫を開けると、冷凍された食べ物が、棚から頭の上に落ちてくるんですよ。母親からは、いつも、お米の最後の一粒まで食べるようにきつく言われました」

さらにこう続けます。

「両親は、『自分の心と体の声に耳を傾けて、お腹がいっぱいになったら食べるのを止めなさい』というふうには教えてくれませんでした。ただ、『出されたものは全部食べなさい』と言われたのです」

この女性は、「痩せなければ」というプレッシャーではなく、「食べ物を無駄にしてはいけない」という両親からのプレッシャーが、大人になってからの自分の摂食障害という病気と関係しているのではないかと考えています。

この女性の体験は、筆者の体験と怖いほど似ています。今でも実家の冷蔵庫を開けると、年老いた夫婦二人の生活では食べきれないほどの食べ物がぎゅうぎゅうに詰め込まれているのですから。

愛情の欠如が摂食障害と関連?

ガーディアン紙のインタビューで、ある女性が、この病気のほかの原因を挙げています。

「日本人は、ハグしたり、キスしたり、抱きしめたりしないでしょ。子供の時でさえ、両親や兄弟から、そんなことをしてもらったことはあまりないかも。それが、若い時から食べることに安らぎを見出した理由かな」

この報じられ方が果たして本当の日本の姿と正しいのかについては多少の疑問は残るものの、海外から見た日本の姿の一部を反映してはいると筆者は思います。

悩んでいる方は厚生労働省のウェブサイトへ行かれてみてはいかがでしょう。

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