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「坊主丸もうけ」は真実?お坊さんが高額投資をする理由

実は安定していないお寺業。資金運用が寺を救う?

世の中は「お坊さんブーム」が来ているようです。テレビ番組ではお坊さんの姿を目にすることが増えましたし、坊主バーも人気。僧侶をネット手配できるAmazonの「お坊さん便」も話題になりました。

けれど、ブームに関係なくつい考えてしまうのが、「お坊さんってもうかってるんじゃないの?」ということ。「坊主丸もうけ」ということわざもあるくらいですからね。今回は、お坊さんと投資について、筆者が知るところを暴露してしまいましょう。

お坊さんは投資好き?

ズバリ、お坊さんは大の投資好きです。それも、私たち一般人が考えられないような高額の投資をどんどんなさいます。けれども、「ああ、お坊さんって羽振りいいんだ」と単純に決め付けることはできない事情もあります。

「お坊さん」という定義は実にあいまい。「八百万(やおよろず)の神」と言われるだけあり、日本には驚くほど多くの宗教法人が存在します。文化庁によると、2015年12月末時点の宗教法人の数はなんと約18万2000。これらの宗教法人が全てお金持ちだというわけではありません。

お寺の収入源はどうなっているの?

まずは宗教法人の収入源について、今回の題材は「お坊さん」ですから、仏教で考えてみましょう。

仏教では各宗派にそれぞれ総本山があり、その下に多くの寺院が位置し、檀家(だんか)があるのです。会社組織に例えるなら、各寺院は株式会社、総本山は持株会社であるホールディングス、檀家は顧客兼株主です。

では、最も身近な「お坊さん」はこの中のどこにあたるのかというと、檀家を持つ「寺院」です。寺院は宗教行為を提供することで、檀家からお布施や寄付を受け取ります。

ただし「お坊さん」の収入源はそれだけにとどまりません。葬儀会社を核としたネットワーク、さらに霊園を核としたネットワークがあり、これらの収入があります。それぞれの寺院は総本山に上納金を納め、総本山は寺院に対して監督や住職の任命を行う仕組みになっています。

「億単位のニーズ」がたくさん

筆者が勤務している地域には、全国的に有名な神社仏閣がたくさんあり、全国の寺院から上納金が納められています。新興宗教も同様に、全国から資金が集まります。

その結果、宗教法人のニーズには「億単位の金融商品を購入したい」という声も実際たくさんあります。その点で、お坊さんは投資が大好きであり、高額の金融商品を次々と買って下さる「いいお客様」であるのも事実です。

「総本山」には資産運用を担当する部署がある

しかし、その運用ルールは厳格に法人内で決められており、リスクの高い投機的な運用や、私利私欲からの投資に興じているわけではありません。あくまで余剰資金の効率的な運用の範囲で行っていることなのです。

総本山にもなると、資金運用を担当する部署があり、その部署が巨額の資金管理を行います。景気悪化は上納金の減少につながるため、効率的な資金運用の必要性はますます高まっていくわけです。このような点で、寺院が投資に積極的であることは事実です。

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お坊さんの格差社会

 一方、私たちの身近にいる「お坊さん」ですが、実際のところはどうなのでしょうか。寺院の収入は檀家からのお布施や寄付金のほかに、葬儀や霊園の運営に伴い得られる収入、また、住職が他の職業を兼業している場合もあります。

現在、本業である檀家からの収入は年々減っているのが現実です。少子化や未婚化、人口流出などにより、檀家制度そのものの存続すら危ぶまれている状況にあるのです。

つまり、本来の宗教活動以外による収入が多い寺院とそうでない寺院の間には、大きな経済格差ができつつあるといっていいでしょう。経営手腕に優れている住職がフェラーリを乗り回すというのも、当然あり得る話です。

貯蓄や保険を積極的に利用

こうした寺院のお坊さんは、額の多少あるものの、将来への蓄えに対する意識が非常に高いものです。積極的にリスクをとって財産を殖やすということよりも、将来のリスクに備えるという点で、貯蓄や保険を積極的に利用されているお坊さんは大勢います。

住職が亡くなると寺院葬が必要となるため、多額の費用がかります。本堂など建築物の改修や修繕にも、個人の住宅とは比較にならないほど多額の費用が必要です。

また、もし、後継者が僧侶の資格を取る前の段階で、その寺院の住職に万が一のことがあれば、その寺院には本山から派遣された別の住職一家が移り住むことになります。そうなると、遺された家族は途方に暮れることにもなりかねません。

お坊さんだって将来が不安

このように、お坊さんは私たちが考えているより将来に不安を抱えているのです。

確かに、羽振りのいいお坊さんがいます。しかし、それはごく例外的なケースであり、多くのお坊さんは堅実です。「お坊さんもしっかり資金運用して、将来に備えなければならない時代がやって来た」というのが本当のところではないでしょうか。

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