(写真=PIXTA)

【連載】「シェアオフィス「Real Woman」の午後」

#05 会社員って、副業しちゃダメですか?

お金に困っていなくても副業した方がいい?

ここは東京・丸の内の女性専用シェアオフィス、その名も「Real Woman」。フリーランスで働く30代の女性が、日々楽しく、時に騒ぎながら仕事をしています。

このオフィスで働く美幸(31歳)は、数か月前に会社員からフリーランスに転身したパーソナルスタイリスト。何もかも自分一人でこなさなければならない自営業としての日々にも、ようやく慣れてきたようです。畑違いではあるものの、同じオフィスで働く行政書士の麻衣子(34歳)、イベント企画の理沙(32歳)とのランチ兼情報交換が楽しみな毎日なのでした。

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午前中最後の仕事が終わり、カラー診断を担当したお客様をオフィスの出口まで見送る美幸。ふぅ、と一息つき、くるっと方向転換したその時…。オフィス仲間ではないのに、見覚えのある女性の顔をなぜか目の前に見つけたのです。

副業を始めたい

美幸:「えっと…あれ、葵?」

:「美幸!ここのオフィスで働いてるんだ?」

葵と呼ばれたその女性も美幸のことを知っている様子。

美幸:「そうなの。今は会社を辞めて、フリーのパーソナルスタイリストをやっていて…。葵と会うのは大学卒業以来だね。それにしても、こんなところでどうしたの?」

:「フリーで仕事かぁ、それはすごいね!実は、会社以外に副業を始めようと思って、オフィスの見学に来たの。都内のシェアオフィスを数軒ハシゴしたけど、今のところここが一番いいみたい」

ここ「Real Woman」では、数日に一度、新たにオフィスを借りたいという女性の見学が行われています。「女性限定」「丸の内」「カラフルで綺麗な内装」という三点セットで、フリーランス女性から今、熱視線を浴びているシェアオフィスなのです。

美幸:「へぇ、副業をね。よかったら詳しく話聞かせて。あ、今から一緒にランチどう?ここの仲間も紹介するね」

:「うん、ぜひ!」

週末だけでもシェアオフィスは使える

美幸と葵がランチスペースへ向かうと、すでに麻衣子と理沙が定位置をキープしていました。

麻衣子:「美幸~。あれ、お知り合い?」

美幸:「そこで偶然会って。大学時代の友人、葵です。副業でオフィスを借りようとしているそうなんです」

:「はじめまして。今日、ランチご一緒してもいいですか?」

理沙:「どうぞどうぞ!副業なのにオフィス借りるなんて、やる気満々ですね」

理沙は、コンビニで買ってきたおにぎりをかじりながら、椅子に座るよう葵に促しました。ちなみに、超がつくめんどくさがり屋の理沙がお弁当を持参してきているのを、美幸と麻衣子は一度も目にしたことがありません。

:「やる気満々というか…家だとどうしても仕事する気になれなさそうなので、土日だけでも借りようかと思いまして」

麻衣子:「そう言えばここのオフィス、週末だけとかスポットでも借りられるのよね」

美幸:「最近は会社員で副業を始める人も多いし、うまくニーズを汲み取ってますよね、ここのオーナー」

理沙:「ところで、本業はどんなお仕事?副業は何を始めるの?」

好奇心旺盛な理沙が前のめりになって葵に尋ねます。

副業 (写真=PIXTA)

:「本業は製薬会社で事務をやっています。副業は、ウェブ制作の仕事を考えていまして。将来的には、依頼主と請負側のマッチングみたいなこともやりたいんですよね」

麻衣子:「それはまた、本職とは全くの異業種なのね」

副業は本業の妨げになる?

:「そうなんです。異業種だからこそ、気分転換にもなるかなって。でも、うちみたいに古い体質の企業だと、『自分で何かやろう』っていう人、あまりいないんですよね。副業は禁止されていないけど、後ろめたい気持ちもあるんです。『本業の妨げになるんじゃない』って心配する同僚もいますし」

美幸:「うーん、本業が疎かになるのはいけないけど、副業の知識を本業に生かせる可能性もあるって意味では、別に妨げにはならないんじゃないかな?」

麻衣子:「むしろプラスになることが多いかもね。この頃では、副業を認める会社が大企業でも増えてきているけれど、それって、働き方の多様性を認めてでも優秀な個人の力を取り込まないと立ち行かない会社が増えてきている証拠かも」

:「副業じゃなくて、どちらもメインという意味合いで『複業』って言葉もあるくらいですからね」

理沙:「人材不足の問題もあるしね。一人が一つの会社にだけ所属するってのは、もしかしたら今後少なくなっていくかもしれないね」

美幸:「そうですよね。あとは、国としても会社としても、自己責任の風潮が高まってきて、『他に仕事やってもいいから老後やお金のことは自分で何とかして』って暗に言われている気もします」

麻衣子:「それは大いに感じるわ。国任せ、会社任せじゃいられないご時世だからね」

お金に困っていなくても副業

理沙:「それにしても、上場企業勤めの友達でも、最近副業に興味ある子ってすごく多いんだよ~。お給料が安いわけでもないのに、なんでだろう」

麻衣子:「これまでみたいに、本業に専念してれば必ず報われるってわけでもなくなってきているからね。少し前までは『副業なんてするくらいなら、本業で資格を取ったほうがいい』なんて言われていたけど、それも一概にそうと言えなくなってきたし」

美幸:「漠然とした不安もありますよね。いい会社に勤めている人でもリストラや倒産、あとは老後のことって心配だと思いますし」

:「私もまさにそうなんです。会社は上場企業ですし、お給料も悪くない。だけど、自分で何かやっておくべきかなって」

理沙:「副業って、『今お金に困ってるからやる』ってものでもなくなってきてるのかなぁ」

麻衣子:「そうね。不安定な世の中だし、特に東日本大震災以降は、いざという時のために自分で何とか収入が得られるようにしておくことの大切さに気付いた人が多いみたい」

美幸:「あとは、複数の仕事を持ってリスクを分散させるって意味もありますよね」

理沙:「副業かぁ。私も何か面白そうなのあったらやろうかなぁ」

美幸:「在宅ワークを始めるのに高額な費用がかかったりする副業詐欺みたいなのもあるみたいだし、気を付けてくださいね。理沙さん、なんかすぐ騙されそう」

一言メモ

本業に専念していればキャリアップできる時代は終わった?一人で複数の仕事を持つ「複業」には、個人にとっても、社会にとっても、大きなメリットが秘められているかもしれない。不安的な世の中を生き抜く術を、副業で身に着けておくのもおすすめ。

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