(写真=Thinkstock/Getty Images)

【連載】「シェアオフィス「Real Woman」の午後」

#06 キャリアと出産、どちらを優先すべき?

今回は、30代バリキャリ女子が気になる「キャリアと出産」について。

ここは東京・丸の内の女性専用シェアオフィス、その名も「Real Woman」。フリーランスで働く30代の女性が、日々楽しく、時に騒ぎながら仕事をしています。

パーソナルスタイリストとして独立した美幸(31歳)は、このシェアオフィスで働いているフリーランスの一人。多種多様な職業の女性が在籍する中で、なぜか仲良くなったのは、行政書士の麻衣子(34歳)とイベント企画の理沙(32歳)という畑違いの2人でした。それでもなぜか3人でのランチタイムはいつも楽しく、明日への活力になるのです。


最近は、仕事が軌道に乗り始めた美幸。週末には、このオフィスで初の単独セミナーが開催されることになりました。麻衣子と理沙も応援に駆けつけてくれるとのことで、ますます準備に力が入ります。

ランチタイムを迎え、ひとまず手を休める美幸。カバンから弁当を取り出し、いつものようにランチスペースへと向かいました。

麻衣子:「美幸、お疲れさま」

3人がいつも陣取っているテーブルに向かうと、麻衣子がすでに座っています。

美幸:「お疲れさまです。あれ、理沙さんは?」

麻衣子:「今日は外で打ち合わせだから、ランチには遅れるみたい。先に食べていましょ」

美幸:「そうですね、ではいただきます」

周りがどんどん結婚していく……

麻衣子:「そういえば、美幸ってまだ結婚しないの?」

美幸がサラダを食べ始めた瞬間、麻衣子が突然こんなことを聞いてきました。知りたいことを単刀直入に質問する理沙のクセが、麻衣子にも移ったようです。

美幸:「え、どうしたんですか、突然……」

美幸は慌ててペットボトルのお茶を口に含みました。

麻衣子:「私の周りで第3次結婚ブームが来てるの。これまで独身仲間だった友だちも今年何人か結婚するから、平日の夜一緒に夕ご飯食べてくれる人がどんどん少なくなっていくわ」

しょんぼりとした表情の麻衣子を見て、美幸にも心当たりがありました。

これまで気兼ねなく食事や遊びに誘っていた友人が次々と結婚していき、何となく疎遠になっていく寂しさ。自分より3歳年上の麻衣子なら、子どものいる友人も多く、なおさらかもしれないと美幸は思いました。

美幸:「確かに、それは私もあります。既婚の友だちは、旦那さんに申し訳なくてなかなか頻繁には誘えないですよね。でも、私はまだ結婚しないので心配しないでくださ……」

麻衣子:「よかった~」

言い終えるか終えないかのところで、麻衣子ががばっと抱きついてきました。行政書士という職業で、見た目からしてもバリキャリな麻衣子ですが、実は3人の中で一番の寂しがり屋なのです。

理沙:「あれ~、2人とも仲良しじゃん。私も入れてよ~」

美幸:「あ、理沙さん、お疲れさまです」

外での打ち合わせを終えた理沙が合流し、話題は美幸の結婚話へ戻ります。

理沙:「それで、なんで美幸はまだ結婚しないわけ?」

美幸:「それは……仕事をもっと軌道に乗せたいし、キャリアを積みたいからです」

麻衣子:「少し前まで結婚したいような雰囲気だったのに」

美幸:「う、それは……。真剣に考えているし結婚はしたいですけど、最近仕事が楽しくなってしまって」

理沙:「それ、わかるな~」

麻衣子:「彼は結婚しようって言わないの?」

美幸:「いつかは結婚しょうという話は出ています。でも、彼は結婚したらすぐに子どもがほしいと言っていて……。私としては、それはまだ無理なので、結婚ももう少し先かなって……」

いつもはゆるふわな見た目に反してきっぱりと物を言う美幸ですが、迷いがあるせいか今日はどことなく歯切れの悪い口調です。

子どもを産むのに最適なタイミングって?

#06 キャリアと出産、どちらを優先すべき? (写真=Thinkstock/Getty Images)

美幸:「もう少し、タイミングを見てからですかね」

麻衣子:「なるほど、すぐに子どもを授かれるかどうかはさておき、自分としてはまだ時期じゃないってわけね」

美幸:「そういう……ことです」

理沙:「でも、働く女性に子どもを産むのに最適なタイミングってあるのかな?」

美幸:「えっ?」

麻衣子:「そりゃ、あるでしょ。仕事が落ち着いた時期とか」

理沙:「仕事が落ち着く時期なんてある?仕事なんて、その時になってみないと忙しさがどうなるかなんてわからないし」

美幸:「確かに……。私たちみたいなフリーランスだと、特に不確定な部分は大きいですしね」

麻衣子:「改めて考えると盲点だったわ。『仕事が落ち着く頃に結婚、出産』って幻想なのかも」

理沙:「でしょ? 私たちみたいに仕事が面白くなってきてキャリアも築きたいって年齢の女性には、出産のベストタイミングなんてむしろないんじゃないかと」

美幸:「なんか、いつもの理沙さんと違ってすごいこと言っている気がする……!」

理沙:「ちょっと……いつもすごいこと言っているわよ!」

麻衣子:「キャリアアップしたいからまだ子どもを産めないっていうのも、もしかしたら違うのかもね」

美幸:「キャリアのために子どもより仕事を優先させるんじゃなくて、子どもを産みたいならキャリアアップもあきらめず、同時に出産もするっていうのが現実なのかもしれませんね」

麻衣子:「大変だし、周囲の協力も不可欠だけどね。でも、仕事のことだけ優先させ過ぎた結果、出産の時期がなくなってしまった…っていうんじゃ困るものね」

理沙:「うん。仕事を完全に辞めなければ、少しずつでもキャリアは積み上げていける気がする」

おしゃべりに花が咲きすぎて、ランチタイムの残り時間はあと10分。それでも3人の話は止まりません。

美幸:「ところで、理沙さんは結婚願望ないんですか?」

理沙:「うーん、彼氏はほしいけど、冷静に考えたら結婚はしなくていいかも」

麻衣子:「理沙は結婚しなさそうだよね」

理沙:「麻衣子にそう言われるのは悔しいけど、そうなんだよね。結婚となるとなんか違うっていうか」

麻衣子:「そしたら、田村くんに『独身子どもなし』のマネープラン作ってもらったら?」

田村くんとは、麻衣子の幼なじみのイケメンFP(ファイナンシャルプランナー)です。

美幸:「そうですよ。理沙さん、年収1000万円以上稼いでるのに貯金ないんだし…」

理沙:「そうしようかなぁ。いろんな本とかサイトの記事を見ても、女性って人生設計もマネープランも結婚、出産ありきで書かれていることが多いじゃない?私みたいなのはどうすればいいのかイマイチわからなくって……」

麻衣子:「確かに、結婚するとなったら軌道修正すればいいだけの話だし、とりあえずどちらにしてもお金のことをちゃんとしておくのは大事ね」

理沙:「ですよね!というわけで麻衣子、イケメンへの連絡よろしく~」

一言メモ

「キャリアか子どもか」ではなく「キャリアも子どもも」。働く女性にとって、出産のベストタイミングはないのかもしれない。でも、逆に言えばそれは「いつでもタイミング」ということ。キャリアは断絶さえしなければ、少しずつ積み上げていける。

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