(写真=Thinkstock/Getty Images)

【連載】「税理士の告白」

第2話 会社の数字で社長の性格が分かる

税理士 鈴木まゆ子さんの連載。税理士に興味を持った理由は?

子育てしながら税理士・ライターとして活動する鈴木まゆ子さん。お金で苦労した大学時代、浪費癖が直らなかったドン・キホーテでの新卒時代…。さまざまな苦難を乗り越え、会計事務所に転職をし、税理士という仕事に興味を持ち始めます。会計の仕事をはじめて気づいたのは「会社の数字の面白さ」でした。

会計事務所に転職

ドン・キホーテでは、途中から店舗の経理を担当、数字のおもしろさを肌身で実感するようになりました。独学で簿記3級の勉強を開始しましたが、3回トライしてすべて落ちました。激務で心身ともに疲弊しきった日々を送る中では、勉強もなかなか身につきませんでした。

そこで本格的に会計の道をめざすべく、ドン・キホーテを退職。2~3か月の休養期間を経て、会計事務所に転職しました。

税理士を志すようになった理由

転職した先の会計事務所の所長は税理士でした。大学在学中に資格学校のパンフレットで税理士の存在は知っていたものの、実際には何が税理士の業務なのか、私は全く分かっていませんでした。

税理士の業務内容、大変さ、中小企業の現実…こういったことを、私は入所後2~3年をかけて知っていくことになります。

入所当時はただ「会計ができればいい。会計を仕事にできるだけでありがたい」と思うのみで、税理士になりたいとは特に感じませんでした。しかし、会計から更に一歩踏み込み、年末調整や確定申告、そして法人決算に携わるようになり、色々な会社を見、そして所長の仕事ぶりを目にするうちに、「税理士っておもしろそうだな」「私だったらこうするのに」という思いが内側から沸き起こるようになりました。

入所して約9ヵ月後、私は資格学校に飛び込み、税理士試験の受験勉強を開始しました。

「会社の数字とは何か」に気づいた2年目

会計事務所,税理士 (写真=Thinkstock/Getty Images)

税理士の受験勉強を続けながら、私は色々な顧問先の月次決算を行う日々を送っていました。毎日、毎月、似たような伝票の仕訳、会計ソフトへの打ち込み、月次決算の打出しを繰り返し行っていたのですが、ある日ふっと数字を眺め、次のことに気づきました。

「会社の数字はただの数字ではない。会社の体質と経営者の性格を表すのだ」

社長の性格まで見えてくる

たとえば、堅実な家族経営の町工場では、現金や預金関係が潤沢にあり、借入金がほとんどありません。そして毎年、金額の多寡こそあれ、かならず黒字で決算を迎えます。

一方、社長が見栄っ張りで財務の管理がルーズな会社だと、銀行からの借入や社長からの借入で数千万あり、利息を払い続け赤字経営であるにも関わらず、タクシー代や交際費でキャッシュがどんどん出ていくばかりの状態です。

そして自社ビルを建てて社員にもちゃんと給与や賞与という形で還元している電気工事の会社では、毎年億の売上を上げ、必ず利益も出していました。ここは、給与計算でもかかわっていたところでしたが、不思議と他社よりも離職率が低く、巡回監査のときでも、会社は常に活気に満ち溢れていました。

数字が会社の体質を推理する道具に

会社の貸借対照表も損益計算書も、ただの数字の羅列ではなく、そこに会社の体質や会社経営者の性格が如実に反映されているのだということに、はっとしたのでした。

これと同時に、それまでただの数字でしかなかったのが、会社の体質や社長の性格を推理する道具に変身し、私はそれまで以上に日常業務を面白いと感じるようになったのでした。

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