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【連載】「わたしがFPになった理由」

第4話 バブルの金銭感覚をどう直したか

「だめんず」の父、バブルの金銭感覚…苦難から抜けだす手がかりは?

現在、女性起業家のコンサルタントとしても活動するFPの黒須かおりさん。かつてFP資格を取得した際には、過去の浪費やキャリアについてたくさんの後悔をしたそうです。

お金の知識がないことは「極寒の吹雪の中に裸で出ていくのか、防寒着に手袋、マフラーで出ていくのかくらいの差がある」と言い切る黒須さんに、FPになった経緯やその後の人生について語ってもらいました。

父とお金

私のお金に対するイメージは、子供の頃と現在では全く異なるものとなっています。その分岐点となったのがファイナンシャルプランナーの資格を取得したことだったのです。どのようにイメージを変えることができたのか、詳しくお話しします。

私の人生を語る上で欠かせない人物が「父親」です。父はよく言えば「自由奔放」。今風に言えば「だめんず」でした。会社に勤めても長くは続かず、それなら自分で会社を興せばいいと始めてはみるものの、うまくいかずやめてしまう。そしてそれを繰り返す。

生活はずっと会社員をしてきた母と、父とは正反対の真面目で勤勉な祖父が支えてくれました。そんな生活ですから、贅沢なことができるはずがありません。「お金があったらあんなこともしたい」「こんなものも買いたい」など、いつも「あったらいいな」という思いで過ごしていました。

それがだんだんと成長するにつれて「なんでお金がないと何もできないの?」という怒りにも似た感情に変わっていったのです。そのエネルギーは父へと向けられ、よく親子喧嘩もしました。ですからお金に対しては、マイナスのイメージしか持っていませんでした。

バブルが生んだ金銭感覚

やがて社会に出ると、そこは「バブル」という名の今まで知らなかった世界が待っていました。当時お給料は毎年上がり、ボーナスもそれなりの金額いただいていました。ですから今までずっと抱いていた「あったらいいな」という感情が大爆発です。

お給料の全てが自分のために使えるのです。使わないはずはありません。あの頃ちゃんと貯蓄をしておけば、10年で2倍くらいまで増えていたと、今の自分なら考えますが、当時の私にはわかるはずもありません。稼いで得たお金はほとんど使う、そんな金銭感覚が普通の時代でした。

やがてバブルははじけて

バブルが弾けると同時期に結婚、妊娠8ヶ月まで働き、その後退職しました。今まで二人分の収入があったのに、いきなり旦那の収入だけで生活していかなければなりません。しかしバブルで染み付いた金銭感覚はそう簡単に変わるものではありません。毎月の収入だけで足りない時は、自分の貯蓄を取り崩すという生活をしていました。

やがて貯金も底を尽き、働こうと決意したのですが、今度は保育園の壁が待っていました。ハローワークに求職の相談に行くと「保育園が決まってから来てください」、保育園に聞くと「仕事が決まらないと申し込みできません」。

結局、二男の幼稚園入園と同時にやっと働き始めることができました。しかし、帰りが早いので時間の短いパートしか出来ず、お給料も増えず、マイナス家計に逆戻りでした。

FP資格との出会い

そんな時、知り合いから「ファイナンシャルプランナーって知ってる?」「無料で勉強できるけど興味ある?」と聞かれたのです。初めて聞く職業に興味をもった私は、さっそく話を聞きに行きました。

すると、ファイナンシャルプランナーとは「お金の専門家」だというのです。お金に対してマイナスイメージを持っていましたので、このままではいけない、一度きちんと勉強してみようと思ったことがFP資格取得のきっかけとなりました。もちろん無料で勉強できるという所も魅力でした。

お金に振り回されるのではなくコントロールする

お金, FP, 浪費, (写真=Thinkstock/Getty Images)

FPの知識は生活に直接関係する税金や社会保障、保険や貯蓄など、とても幅広いものでした。しかし、そんな大事なことなのに今まで知らなかったことの多さに衝撃を受けました。思い返してみると、私の人生反省することばかり。バブル時代使い放題だったことはもちろんのこと、会社を辞めるタイミングや育休を取得して復職する選択肢があったことなど…。

このお金のことを学んだことが、私の人生の方向を大きく変えることになりました。つまり、お金に振り回される人生を送るのではなく、お金をコントロールする人生にしなければならないのだという意識に変わっていったのです。

吹雪の中に裸で出て行くようなもの

家を建てたとき、まだお金の知識はありませんでした。旦那の会社の株主が某メガバンクだったのですが、住宅ローンもそちらのメガバンクで組みました。

メガバンクだったこともあり、なんの疑いもなく、担当の方に言われるがまま住宅ローンを組みました。しかし、後になって、銀行を選べることも、金利は交渉できることも、保証料の仕組みも知ったのです。つまり、お金の知識があるのとないのとでは、選択肢の幅に大きな違いがあるということなのです。

例えばお金を増やす方法を貯蓄しか知らない人と、株や投資信託、外貨建て商品などの知識のある人とでは、増える金額もスピードも違います。身の周りの税金や社会保障についても同じです。極寒の吹雪の中に裸で出ていくのか、防寒着に手袋、マフラーで出ていくのかくらいの差があります。

まずは年金やお金を増やす方法から

お金の知識を身につけることで、自分の身を自分で守ることができるようになる、自分や家族の選択肢を大きく増やすことができるようになります。お金の知識がないことが、あなたの人生の選択肢を狭くしているとしたらとても残念なことです。

まず、自分の身の回りの年金やお金を増やす方法などついてからでも勉強してみることをオススメします。その知識はきっと人生を豊かにしてくれるはずです。私は、たくさんの方が人生を豊かにするためにお金の知識を持ってもらいたいたい、という思いからFPという仕事を選んだのです。

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