
(写真=Thinkstock/Getty Images)
不動産投資で「民泊」も始められる?
賃貸に出すより高リターン? 民泊で広がる不動産投資の可能性
気軽に利用できる 空き家仲介サイトAirbnb
先日、友人から、「今度、Airbnbで海外旅行に行かない?」という連絡が入りました。昔から大の旅行好きであちこちへ出かけている友人いわく、「Airbnbはホテルとか旅館に泊まるよりリーズナブルな所も多いし、おしゃれな部屋が多い」らしく、「現地の家で暮らしているみたいな気分が味わえる」のだそうです。
最終的には「旅行好きにはAirbnbはもはや常識だから!」とまで言われ、旅行と言えば、安いのをいいことに古びた安ホテルや怪しい旅館にばかり泊まっていた自分を省みて、興味を持ちました。
友人がいうところによると、Airbnbは世界190ヶ国以上に登録物件がある空き家仲介サイトで、マンションやアパート、一軒家などを宿泊施設として貸し出す「ホスト」が第三者に有料で部屋を貸し出す、いわば「民泊」の一種。サイトを見てみると、キレイなマンションの一室から一軒家まで、膨大な量の物件が掲載されていて、とても驚きました。
さらに驚いたのは、日本国内にもAirbnbの物件がたくさん登録されていたこと。日本にもAirbnbのホストが結構いるんです。そんな中、先日、羽田空港が近い東京の大田区で、日本国内での民泊が正式に認定されたというニュースを見ました。JR蒲田駅に近い2つの物件が、国内の空き家仲介サイトの中で、正式に日本で民泊としての営業を許可されたのだそうです。
「アレ?正式に許可されたということは、今Airbnbに登録されている日本の物件は許可されてないの?」 素朴な疑問を感じ、さっそく調べてみることにしました。
日本を訪れる外国人観光客の数は急増中
Airbnbはアメリカのサンフランシスコで2008年に創業。日本にAirbnbが導入されたのは2014年からと、意外と最近のようです。最近、街で外国人観光客を見かけることが以前より増えたと思っている人も少なくないと思います。私も、銀座、六本木、原宿、渋谷、新宿などなど「都心を歩けば外国人観光客に当たる!」と実感しています。
日本政府観光局のデータを見ると、日本を訪れる外国人観光客の数は、2012年までは約800万人程度だったものの、2013年に約1000万人の大台を突破、2015年には倍近くの約1973万人もの人が訪れたのだそうです。「そりゃあ、街に外国の方が増えたって感じるよなぁ…」と納得。今年は、2016年1月のわずか1ヶ月間で、185万2000人の外国人観光客が日本を訪れたそうで(前年比約52%アップ!)、このままいけば2016年には、確実に2000万人を突破するそうです。
しかし、日本は技術先進国とはいえ、観光に関してはまだまだ後進国。2014年の「世界各国、地域への外国人訪問者ランキング」では日本の順位は世界で22位と、観光先進国としては、世界1位のフランス(83万700千人)や、アジア1位の中国(55万622千人)と比べると、外国人観光客の数は多いとはいえません。ですが、国を挙げての「VISIT JAPAN」キャンペーンや東京オリンピックなど、数はこれから確実に伸びていくでしょう。そうなると、必然的に国内の宿泊施設の数も必要になってくるはずです。
不動産投資で購入した部屋でAirbnbの運営はできる?
今私が「不動産投資」で部屋を購入した場合、所有する部屋でAirbnbの運営ができるようになるかもしれない、ということを知りました。不動産投資と言えば、所有する部屋を他人に貸し出し、月ごとの家賃収入を得るのが一般的ですが、所有する部屋をAirbnbなど民泊のための宿泊施設の仕様にして、法人だけでなく一般人でも、Airbnbの運営ができる可能性があります。
現在の日本には「旅館業法」という法律があり、民泊を開業する場合はその法律に則って届け出をしなければいけないのですが、今のままの法律だと部屋の客室面積など、普通の住宅が営業許可を受けるにはかなりハードルが高いそうです。
そのため、Airbnbのサイトに掲載されている国内の物件のほとんどは、許可を受けずに営業しているようです。しかし、2015年時点で、日本でAirbnbを運営しているホストは1万3000人以上、宿泊施設の一つとして確実に活躍しているため特に問題にならなかった、というのがこれまでの現状です。
1カ月で30万円の売上げに!?
今後も外国人観光客が増えることは間違いなく、2020年には東京オリンピックも開催されるため、「きちんとしたルールを作り、一般の住宅でも民泊を行なえるようにしよう」という目的で、政府で会議が行われ、今年4月には旅館業法の一部を改正し、一般の住宅でも民泊が行いやすくなるよう、法律が変更される予定です。
それでは、まだ法律が変更されていないのに、なぜ大田区は民泊が認められたのでしょうか。東京の大田区などは、例外的に旅館業法の適用外の「国家戦略特区」。そのため、区で民泊条例を定め施行することができるのです。同じく国家戦略特区の大阪も、今年には民泊条例が施行される予定だそうです。
不動産投資で購入した部屋を、Airbnbで一泊1万円で貸出したとすると、一ヶ月フルで稼働すれば30万円の売上げにつながります。運営にあたっては家具や家電製品を揃えたり、アメニティの準備や清掃などのコストがかかりますが、うまくいけば部屋を賃貸に出すよりも収入をアップさせることができますよね。
もちろん、所有する部屋でAirbnbの運営が許可されない可能性もありますし、仮に運営できたとしても、人気が出るかどうかは未知数です。それでも民泊運営のハードルが低くなることで、チャレンジできる可能性が高まることは事実。
これから、どのように旅館業法などが変わっていくのか、注目してみたいですね。